後継者育成に本腰を入れ始めたG阿部 ベテラン捕手の切実な願い
言動ににじむ覚悟、巨人・阿部のシンプルな願い
このオフ、巨人・阿部慎之助捕手の言動が報じられることが多い。球界の人気選手であり、代表する捕手であるため、注目度は高い。自主トレでは後輩捕手の育成のためにグアム自主トレに連れて行き、リード面などを伝授する予定。自分自身の立ち位置を理解し、様々な覚悟が見える。
慢性的に痛みのある首のケガから昨年は一塁手専任になったが、阿部が捕手にならなければ勝てないチーム状況になり、捕手復帰を決断。しかし右肩痛に苦しめられ、今季は開幕2軍スタートとなった。なかなか状態が上がらない中、チームも低迷。打線の起爆剤として5月末に1軍に呼ばれた。昇格即、本塁打を放ったり、23試合連続安打を放つなど活躍したが、マスクをかぶることはなかった。
そして、ついに後継者育成へ、すべてを伝える時が来たようだ。日頃から「小林が出てこないと巨人が強くならない」と危惧していた阿部。リードのイロハをたたき込む。
小林誠司は今季129試合に出場。高橋由伸監督が我慢して使ってきた。配球ミスで負ける試合もあったが、高橋監督も将来のために起用。打率は.204と低いが、何よりも経験が必要だった。新たに得た経験値は来季の小林のプレーに染みついて、生きていくだろう。そこに阿部の頭脳が加われば、大きく開花するかもしれない。
なぜ、阿部はここまでするのか。理由はただ一つ、「勝ちたい」からだった。
2001年の入団以降、2度の3連覇を含む7度のリーグ優勝を経験。日本一にも3度輝いた。「優勝した喜びを、もう1度でいいから味わいたい。若い子に経験させてあげたい。そうすれば、強いジャイアンツが出てくる」。個人のことは二の次。巨人は優勝することで常勝軍団を作ってきた。
補強してでも勝つことがこれからの巨人にとって重要なことだと、阿部が一番、理解しているのだろう。切実な「勝ちたい」という願いが、ナインに浸透し、1年後、実を結んでいるだろうか。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count