「ラミちゃん」捨てたDeNA新米監督 なぜ球団初のCSに導けたのか

指揮官が認めた2つの継投ミス、気づいた信頼の重要性

 1つ目が開幕3戦目の3月27日、広島戦(マツダ)。3-0で迎えた6回、先発・石田に疲れが見えたと判断し、2番手・長田に継投。だが、結果的に打ち込まれて逆転負けを喫した。2つ目が5月1日、阪神戦(甲子園)。5点リードした7回、先発・山口が満塁のピンチを招いて救援陣に託したが、またも打ち込まれて大逆転負けとなった。

 それぞれの試合の後、石田については投手陣から、山口については本人から、まだ続投することはできたと指摘された。この2つの継投ミスを契機として、選手、コーチ陣を信じ抜くことの意識が芽生えたという。直前に得た失敗によって形作られた采配によって、5月の快進撃は支えられていた。就任当初から掲げていた「梶谷2番構想」も、本人のやりにくさを感じ取るとあっさりと止めたことも、その一例だろう。

 選手を信じ抜く――。その集大成となって表れたのは、助っ人の復活劇だった。CS進出の真っただ中にいた8月。ロペスが大不振に陥っていた。それでも「大きなスランプの後には必ず爆発が来る」と、指揮官は頑として、ロペスをスタメンを外すどころか打順を下げることもしなかった。結果的にロペスは30打席無安打の後、4試合で2本塁打を含む11安打を放ち、予言通りの「爆発」を見せた。

 当然、実績のない若手には決してこんな無謀な采配はしなかっただろう。だが、相手はメジャーでも第一線で活躍したキャリアを持ち、日本でのプレーも4年目を迎えた助っ人。確信に近い予感に導かれた信頼によってロペスは復活し、9月に12本塁打で月間MVPを受賞するなど、CS進出をかけた最終盤でチームの大きな助けとなった。

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