「欲が出てしまった」 ロッテ23年目・福浦和也の後悔

2000安打迫るベテランが心から欲するモノ、「だからもっと打席を大切にしないと」

 大ベテランは自らを責めていた。12月15日、契約更改を終え、ZOZOマリンスタジアムの会見場に姿を現した福浦和也内野手は何度も「欲が出てしまった」と言って、眉間にしわを寄せた。貫いてきた自らのポリシー。それが今季、わずかばかりのことだが、揺れ動いてしまった。それがどうしても許せなかった。だから、オフは自問自答の日々を繰り返した。

「例えだけど、今年はアウトコースにボール一つ外に外れているボールを打ってしまった。ファウルにするべき球を前に飛ばして、ゴロアウトにされてしまうケースがあった。自分の中では分かっているつもりでも、本能のどこかで『結果が欲しい』という欲が出てしまったのだと思う。チームのためにファウルで粘って、最後は四球でいいので出塁をしなくてはいけないのに、前に飛ばしてアウトになってしまった。それが許せなかった」

 2000本安打まであと68本。周囲からは偉業達成への期待の声が溢れる。それでも福浦は一貫して「チームが勝てばそれでいい。四球でいいので出塁をしたい。ヒットを狙うつもりはない」とクールな表情で回答をし続けていた。ただ、今年は石垣島での春季キャンプで左足を痛め、いきなり出遅れたことで狂いが生じた。自らの心の緩みがこの躓きを生んだと捉えた男は悔い、悔み、結果的に大事にしていた『静の心』が揺れ動いた。

「今年の春季キャンプは例年になく調子が良かった。それで、調子に乗ってしまった。あまりにも状態がいいので、ロングティーの時にトレーニング用にと重いボールを打っていた。その時は調子がいいから、気分よくやっていたのだけど、宿舎に戻って少し時間が経つと足に違和感を感じた。自分の油断。悔しいよ。まだまだ甘いということ」

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