米国は家族と共に、日本は裏で支える…それぞれの美学

米国ではファミリーデーを開催し、家族と過ごす時間に配慮

 時には、本拠地で日曜日に行われるデーゲームで“ファミリーデー”を開催。練習前のクラブハウスには多くの子どもたちが姿を見せ、お父さんと一緒に朝ごはんを食べるシーンも見られた。また、練習前のグラウンドで選手が子供とキャッチボールをする光景はおなじみで、長いシーズン中に限られた家族と過ごせる日曜日の朝を、球団側も大切にしていたようだ。もちろん、これは私が実際に見た数球団での話なので、全てに該当するわけではない。

 私が見た中で最も家族を大切にする姿が感じられたのは、2011年、当時ミネソタ・ツインズに在籍したジム・トーミが通算600号HRを放った時だ。記録達成を目の当たりにしようと遠征にも家族が同行。敵地デトロイトで記録が達成された直後には、試合中にも関わらず家族がクラブハウスまで降りてきて、喜びを分かち合っていた。いかに野球選手が家族と共に戦い、喜びを分かち合っているのかを目の当たりにした瞬間だった。

 一方、日本では米国にはない優勝チームへの”ご褒美”でもある優勝旅行というイベントが存在する。全球団が同じルールなのかは分からないが、選手の家族が同行することが一般的だと聞く。しっかり支えてきた家族の貢献も理解しているからこその配慮だろう。

 急な昇格や降格、トレードや解雇と常に隣り合わせの野球選手の生活。それを側で支える家族のあり方にも、それぞれの文化が反映されるようだ。選手たちと共に球場に出掛けて支える美学もあれば、表には出ずに裏で支える美徳もある。

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