3年連続Bクラス、監督交代、主将が初球宴出場…西武の2016年10大ニュース

金子が盗塁王&菊池が初2桁勝利

◯金子侑司が盗塁王獲得

 53盗塁で、糸井嘉男選手(オリックス)と共に『盗塁王』を初受賞した。これまで21盗塁が自身最多だったが、激増した裏には、何と言っても自己変革が欠かせなかった。昨季までの派手な長打狙いの打撃を捨て、今季は「つなぎ役」「泥臭さ」に徹したことが奏功。元々、足の速さには定評があり、盗塁にも期待されてきたが、その武器を生かすためには、出塁しなければならない。その基本的な部分でプロ入り3年間伸び悩んできたが、今季は「試合に出続ける」「どんな形でも塁に出る」に強い意識を持ったことで、ポテンシャルを大いに発揮しての大活躍となった。

◯菊池雄星投手がプロ7年目で初の2桁勝利

 プロ入り後、常に「2桁勝利」を目標とし続けてきた。2009年、15年と二度、9勝までは到達したものの、どうしても「あと1勝」が挙げられず、涙を飲んできた。そして今年8月26日(日本ハム戦、大宮)、ついに10勝の壁をクリアしたのだった。試合終了直後、「長かった・・・」と、しみじみとつぶやいていたが、その後は内容もさらに充実。最終的に12勝をマークし、チーム最多勝、さらには初めて規定投球回にも到達し、防御率2.58はリーグ2位の成績となった。岸の移籍により、来季はいよいよ本格的にエースとしての結果が求められそうだ。

◯森友哉選手が2年ぶりに捕手復帰

 春季キャンプは捕手として参加したものの、練習試合、オープン戦と打撃で結果が残せず。その原因が『捕手』の守備負担にあると考えた首脳陣は、今季も森の捕手起用を封印した。ところが、7月に一転。再び背番号10がマスクを被る姿が見られるようになった。特に9月からは先発マスクも増え、フルでの捕手起用、勝利に導く試合も重ねていった。また、懸念された打撃への影響もほとんど感じさせず、むしろ打率はプロ3年で最高の.292をマークしたほどだ。体を張った、ガッツ溢れる捕球なども評価され、来季から指揮を執る辻新監督も「捕手としてしか考えてない」と明言。日本球界全体も熱望する「打てる捕手」となれる逸材の来季の飛躍が楽しみだ。

◯「助っ人」ウルフ投手

 先発としてバンヘッケン、ポーリーノ、中継ぎにバスケス、C.C.リーと、「助っ人外国人投手」として多大なる活躍が期待されたが、先発陣は0勝。リリーバーもバスケスは19試合、C.C.リーも18試合の登板のみで、どちらも7月に1軍登録を抹消されてからは、1度も再昇格はできず。戦力となることはできなかった。

 これを受け、球団は7月20日に急遽、日本ハム、ソフトバンクなどで結果を残したブライアン・ウルフを獲得。その初先発(8月28日・日ハム戦)で勝利を挙げてみせると、その後も登板した試合はすべて白星で飾り、外国人投手としては唯一、来季の契約更新を勝ち取った(郭俊麟は除く)。4戦4勝という結果はもちろんだが、球速、またはキレのある直球で押すタイプの投手が多いライオンズ投手陣にとって、少ない球数で内野ゴロに打ち取っていくその投球内容は、「新鮮だった」という。他投手が投球の幅を広げるための参考にもなるという点から見ても、プラスの存在となったことは間違いない。

◯人工芝張り替え

 08年から使用してきた西武プリンスドームの人工芝が全面リニューアルされた。ミズノ株式会社と積水樹脂株式会社が共同開発した「MS Craft Baseball Turf(エムエスクラフト ベースボールターフ)」という、野球専用の人工芝で、本拠地で採用するのは初となった。天然芝に近い性能を誇り、そのクッション性により野球用スパイクを履いた時の衝撃吸収性が格段にアップ。当然、慣れ親しんできた以前とは、打球のバウンドに変化が生じてしまうデメリットも皆無ではなかったであろうが、それ以上に足への負担が軽減されたことは、選手にとっては大きいはず。実際、今季は主力野手で大きな怪我で離脱した選手はほとんどいなかった。

 監督が代わる来季こそは、CS出場を果たし、10大ニュースのすべてが良い内容で溢れることに期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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