「ピタゴラス勝率」って何? 指標で見る直近5年のパ・リーグ6球団の成績は

運か、実力か、勝負強さか…得点と失点から求められる勝率の期待値に注目

 言うまでもなく、野球は得点の数を競うスポーツだ。安打の数で相手を上回っても負けることはあるが、得点が上なら負けることはない。春季キャンプを前にして、各球団の監督が様々な公約を掲げているが、その最終的な目的はつまるところ、いかに得点を増やし、失点を減らすかということになる。

 得失点差の高いチームは、リーグ順位でも上位につけることが多い。ただし、気をつけたいのは、あくまでその確率が「高い」ことであって、「絶対」ではないことだ。

 実際、昨季は得失点差がリーグ2位(+152)だった北海道日本ハムが優勝し、リーグ1位(+158)の福岡ソフトバンクが後塵を拝している。それでも、得失点差で高い数値を記録できるチームが、栄光に近づくことに変わりはない。極端な話をすると、負け試合ではどれだけ点差をつけられても、僅差の試合をすべて勝てば、理屈上は得失点差がマイナスでも優勝は可能だ。だが、長いプロ野球史にあって、マイナスの得失点差でリーグ制覇を果たしたチームは存在しない。

 野球という競技における得点と失点の重要性を認識した上で、ここでは「ピタゴラス勝率」という指標を紹介したい。「ピタゴラス勝率」とは、得点と失点から求められる勝率の期待値で、以下の計算式によって算出することができる。

◯ピタゴラス勝率=(得点の2乗)÷(得点の2乗+失点の2乗)

 実際の勝率がピタゴラス勝率を上回ったチームは、その得点力と失点を防ぐ力を勝ち星にうまく結び付けられたと言えるし、下回ったチームは実力を出し切れなかったということにつながる。そこで、直近5年のパ・リーグ6球団を対象に、勝率とピタゴラス勝率とその差、得失点差を並べてみた。

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