オリックス甲子園準V右腕が「理想と現実が全く違う1年」でつかんだもの
「毎日、投げさせてください」…首脳陣に直訴した理由とは
問題が解決しないまま、1年目のシーズンが終了すると、佐藤世は田口壮2軍監督や投手コーチに「毎日、投げさせてください」と直訴した。
「プロは先発した次の日やその2日後も投げなかったので、自分の中で変な感じがありました。だから、高校の時の感覚に戻そうと。投げたお陰でまっすぐもフォークも戻ってきました。球の伸びが変わってきているとキャッチャーから話があって、自分で投げても分かってきたんです。
腕の感じも、リリースの感じも良く、キレイにボールがいっていました。投げ込んだことでフォークが一番、良くなったと思います。高校の時、フォークは130キロちょいくらいでしたが、120キロ中盤とかに落ち、それが空振りを奪えなかった原因。フォークのスピードも戻ったことで、フェニックスリーグでは空振りを取れて三振の数も増えました」
秋季キャンプも投げ込んだ。肩やヒジの負担から投げ込みには賛否があることも理解した上での選択だ。プロの調整法に慣れず、迷いながら過ごした1年目。自分のことは自分がよく分かっている。3年夏に甲子園準優勝した母校・仙台育英高では監督から言われたことをそのままやるのではなく、自分で考えて取り組む習慣がある。それがここで生きた。田口2軍監督らの理解もあり、昨秋は投げ込みに重きを置いた。