オリックス甲子園準V右腕が「理想と現実が全く違う1年」でつかんだもの
田口2軍監督へ2年目の誓い「今年はお世話にならないように」
「その投げ込みのおかげで球の勢いもそうですけど、フォーム的にもリリースの位置の感覚が良くなりました。感覚は今でも残っています。12月はピッチングをしていないですけど、キャッチボールしてもその感覚が残っている。そういった面では、シーズン終わってからの2か月くらいですごくつかめたかなと思います。
あとは1イニング、2イニングではなく、先発で続ける体力、キレを最終回まで持っていく体力をつけていかなきゃいけないと思っています。昨年は3イニング、1巡目はいい感じで三振を取れたりしたんですけど、2巡目から苦しくなってきたんですよね。今年、自分の中でも楽しみなんです」
高校の頃から言葉数が多く、自分の考えや意見を素直に話せる選手だったが、充実感を語る佐藤世の声はいつにも増して弾んでいた。
田口2軍監督はシーズン中も昨秋のキャンプでもバッターボックスに立ち、佐藤世が投じる1球、1球を見てくれたという。そして、キャンプ終了時には「来年が楽しみ」と期待をかけてくれた。「今年は田口さんのお世話にならないように」と笑った佐藤世。お世話にならないことが何よりの恩返しだ。
「1軍で投げたいですね。・・・いや、投げますよ、もちろん!」
容易なことではないと分かっているが、力強く1軍デビューを宣言できるのは、秋の成果に自信を持っているから。1年目から2年目へ。秋から春へ。成長をつなげた先の道が、その視界に映っている。
【了】
高橋昌江●文 text by Masae Takahashi