「あの日の衝撃は忘れられない」 ロッテ井口が慈善活動に取り組む理由

若き井口を変えた衝撃「自分にはそんな力はないと思っていた」

「本当に喜んでくれた。子供もそうだけど、親も…。『子供の喜んでいる顔を見るのは久しぶり』と泣いてくれたお母さんもいた。自分にはそんな力はないと思っていたから、衝撃だった。そんな人の笑顔や涙を見て、自分にそれがちょっとでもできるなら、できる限りの事はやろうと考えるようになった。あの日の衝撃は忘れられない」

 それ以来、可能な限り、時間を見つけてはいろいろなところに足を運ぶ事を意識した。野球場に行きたくても行けない子供もたくさんいる。だから、自ら足を運ぶ。そして球場に招待をする。触れ合う機会を求める。シーズンオフも野球教室や、施設訪問なども積極的に行い、チームの後輩たちにも、プロとしてあるべき姿を伝えている。

「メジャーではみんな、なんらかの活動をしていた。誰もがその意識を持って、いろいろな活動に取り組んでいた。日本もいつかはそうあって欲しいと思う。日本はアメリカに比べてなかなか行える環境やルートが整理されていない事も問題。そのような土壌や教育もすべきだと思う。だから若い子をどんどん誘う」

 鷹のように鋭い目。溢れんばかりの筋肉。一見、近寄り難いオーラを感じる井口だが、訪問先ではすぐに子供たちや施設の方々と打ち解ける。その目力からは想像もできないような優しい笑顔が周囲を幸せな気持ちにさせてくれる。高齢者にも寄り添い、時には一緒に民謡に合わせて踊ったりもした。その姿を一緒に活動に参加をした若い選手たちはジッと見ている。そうやってマリーンズに、慈善活動の意識は繋がれていく。

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