デスパイネ退団で燃える男・アジャ井上 4年目へ胸中吐露「ラストチャンス」

デスパイネの穴埋められるか―、4年目にかける想いと1冊の「野球ノート」

「幕張のアジャ」。110キロを超える巨体と風貌からファンはそう親しみを込めて呼ぶ。ルーキーイヤーはオープン戦から本塁打を量産し、さらに首位打者となった。新人のオープン戦首位打者は1965年のドラフト制導入以降で初。その勢いのままに新人では異例の開幕スタメン、しかも4番に抜擢された。新人の開幕4番は球団では64年ぶりの快挙。順風満帆なプロ野球人生がスタートするかに見えた。

 しかし、1年目から徹底的なマークにあい、36試合の出場で2本塁打。2年目はシーズン中に、右足の肉離れ、腰痛、左手人差し指の骨折と怪我に泣かされ5試合の出場。昨年も開幕で大谷撃ちを果たすも、その後は勢いに乗れなかった。毎年、期待されながらも結果が伴わない辛さ。4年目の今季こその想いは強い。

「デスパイネがいないから長打が売りの自分は大チャンス。このチャンスを生かさないようでは、オレはダメだと思っている。ラストチャンスだと思う」

 キャンプの自室には「野球ノート」と書かれた1冊の本が机に置かれている。そこにはビッシリと色々なことが書かれている。打撃で気が付いたこと。心がけ。そして相手投手の特徴や球種。さらには状況別でどのような心がけか必要か。今の想い。これまでに様々なことを書き、今もチェックを忘れない。

「ノートに書くと覚えるというのはありますし、いつでも振り返ることができる。そして、自分自身もノートを読み返すことで自信を持つことができる」

 勝負の1年が始まった。アピールを続け、今年こそ定位置を獲得する。デスパイネの穴を埋める一役を担うことを期待される男は、その想いに応えるべく連日、振り込む。マリーンズをバットで引っ張り、アジャ井上の名を今年こそ全国区にする。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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