「大変は大きく変わると書く」― ロッテ4年目捕手、無安打記録からの逆襲

3か月1軍での出番を待ち、4日で再び2軍に…

「打撃に関して去年、イメージと違うという思いはずっと心の中にあった」

 ヒットがなかなか打てなかった。捕手ながらの力強い打撃を評価されてプロ入り。1年目は50試合で27安打(2本塁打)。2年目は巨人戦(6月24日)でサヨナラ打を放つなど25安打を放った男が勝負の年として挑んだ3年目に大きく自分の打撃を見失った。

 焦り、悩んだ。もがけばもがくほど、どつぼにはまり、本来の自分のスタイルから、かけ離れて行くのを感じた。ついに5月31日に1軍登録抹消された。そこから長かった。ファームで必死に汗を流し再度、チャンスを待ったがなかなか声はかからない。その間にライバルの田村は6月の月間MVPに輝くなど1軍で大きな活躍を見せていた。存在を失った日々が流れた。ようやく呼ばれたのは8月24日。抹消から約3か月が過ぎていた。

「待ちに待った1軍昇格。よし、やってやるぞと汚名返上のチャンスに燃えていたのですが……。あれは落ち込みました」

 捲土重来。若者は今度こそとばかりにやる気に漲っていた。しかし、現実は残酷だった。結果を出すことはできなかった。3か月出番を待ち、4日で2軍に再び落ちた。8月27日に登録を抹消された。自分が情けなくなった。

「いろいろな人から声をかけてもらいました。高校、大学のチームメート、先輩や後輩。でも、みんな気を使って、オブラードに包んで連絡をくれるんです。その気持ちがすごく伝わった。ありがたかったけど、申し訳ない気持ちの方がはるかに強かった。オレが活躍をしてみんなを喜ばせないといけないのに逆に気を遣わせてしまって……。オレ、なにやっているんだよって」

 チームの先輩選手もメールをくれた。「ここで野球が終わるわけじゃない。だから一からファームでやり直せ」。周囲の気持ちが痛いほど伝わったからこそ、すぐに立ち上がった。試合後には2軍バッテリーコーチとミーティングをしてリードを反省した。自宅に戻ってからも1軍の試合をあえて見て勉強をした。感じたことをメモに書きとめた。そして打撃も一から見つめ直した。

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