「大変は大きく変わると書く」― ロッテ4年目捕手、無安打記録からの逆襲

心に深く刻まれたメッセージ、「今年は大きく変わる年に」

「打撃に関してはあれこれ考え過ぎていました。グリップの位置がどうだとか。最初の構えがしっくりこないとか。大事なのはボールに当たる少し前から瞬間のバットの入れ方であったりするわけで、その辺を見つめ直しました」

 結局、吉田は2016シーズン、無安打のまま1年を終えた。どん底の1年。しかし、吉田はすぐに立ちあがった。屈辱から背を向けず、歯を食いしばり、前向きに練習に取り組んだ。秋季キャンプ、その後の自主トレ。例年は先輩選手たちと行う自主トレも今回はあえて一人で行うことを選択した。黙々と1人でトレーニングを重ねる中で、弱かった自分と向き合った。昨年の悔しさを胸に野球漬けの日々を送った。

 そんな時、深く心に残ったメッセージが届いた。知人とのメールのやりとり。「大変な1年でした」とメールをすると、「大丈夫だよ」と返信が来た。

「大変は大きく変わると書く。だから、きっと大きく変われるよ」

 傷ついていた若者の心にスッと入ってくるメッセージだった。言葉とはなんとも不思議なものだ。そう言われると、胸の奥底から希望と勇気が湧いてくるような感覚になった。

「やってやるぞという気持ちになった。今年は大きく変わる年にします」。屈辱の1年から栄光の1年へ。吉田は大きく変わる。変えてみせる。石垣島春季キャンプはいよいよ最終クールに入った。そこには誰よりも声を出し、誰よりも懸命にボールに向き合う背番号「24」の姿がある。悔しさを糧に今年は絶対に大きく変わろうと懸命に生きている。2017年は吉田裕太から目が離せない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト

【了】

マリーンズ球団広報 梶原紀章●文 text by Noriaki Kajiwara

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