不本意を本意に変える―ロッテ井口、代打の切り札として学ぶ“新しい野球”
今年43歳のNPB最年長野手、1打席勝負の代打で「チャンスは3球」
NPB最年長野手。ロッテ井口資仁には、今季からこんな枕詞が付くようになった。「ここ1、2年くらいで同年代が結構辞めたから。今年43歳になることを考えれば、最年長野手でもおかしくないかな」と笑うが、引き締まった身体、鋭い目、精悍な顔つきから老け込んだ様子はまったく感じられない。もちろん、本人にもその自覚はない。
「ないですね。自主トレでも一緒にやった19歳に、一応ついていけるから(笑)。もちろん、143試合に出られる練習をしているし、体力そのものはある。メンタルは年々強くなってきているしね」
ダイエー(現ソフトバンク)では二遊間を守り、メジャー移籍後は二塁手として華麗なグラブさばきを披露してきた。だが、若手の台頭や打撃に専念してほしいというチーム方針もあり、2013年からは一塁へ転向。翌2015年からは代打出場の機会が増えた。
「もちろん先発で出られないのは、自分の中では不本意。本当はレギュラーで出られるのが一番いい。でも、チームとして何が足りないかを考えた時、代打の強さは必要だと思うんです。今は僕と福浦(和也)で右左の代打がいるから、相手の嫌がることはできているのかな」
一人の選手としてのプライドもあるが、それ以上に優勝したい。チームが1勝でも多く積み重ねるために、自分がどんな役割に徹するべきか考えた時、代打という役割をスッと受け入れることができた。昨季は出場79試合のうち代打で41試合に出場し、打率3割という勝負強さを発揮。先発であれば1試合3、4打席トータルの中で相手投手との駆け引きがあったが、代打は1打席限り。与えられた舞台でのアプローチも変わった。