不本意を本意に変える―ロッテ井口、代打の切り札として学ぶ“新しい野球”
日米通算300本塁打へ残り7本、「今年中に打たないと先は長くないから」
「今までと違った角度から野球を見たり、考えたりするようになりましたね。場面場面で、うちの監督はどういうサインを出すんだろう? 相手の監督はどういうサインを出すんだろう?って。代打が出てきたら、投手は誰を出して、その次は誰にするんだろう? 自分が監督だったら、この場面はどうするのかなっていうことを考えてます。
ベンチにいると、相手ベンチの中が全部見えるんですよ。監督やコーチの動き、選手の動きが全部。そうすると、次はこう来るなっていうのも見えてくる。そういう意味では、試合の展開や作戦っていうのは、前よりもずっと見えるようになってきた。
監督やコーチの選手に対する声の掛け方にも気が付くようになりましたね。どうやって選手にやる気を出させるか。控え選手にモチベーションを保たせるのか。本当にいい勉強になりますよ」
2017年の目標は、もちろん2010年以来7年ぶりの日本一だ。同時に、個人としては日米通算300本塁打まで残り7本に迫っている。昨季は176打席で5本塁打を記録した。
「あと7本。今年中に打たないと先は長くないから(笑)。結果を残して打席数を増やして、10本くらいは打ちたいですね。いや打ちますよ」
頼れるベテランが幕張の空にいくつものアーチを描いた時、偉大なる金字塔が打ち立てられ、そしてチームも12球団の頂点に輝くのかもしれない。
【了】
佐藤直子●文 text by Naoko Sato