なぜ、DeNAには若き才能が次々芽吹くのか 勝負師ラミレスの「眼力と信念」

“眼”で2000本安打達成した指揮官、能力発掘で生かされる眼力

 とはいえ、いくら信頼を与えたところで、信じた選手が結果を出さなければ元も子もない。特筆すべきは、抜擢した選手が期待に応えていることだ。

 もともと、“眼”で成り上がった男である。

 01年にヤクルトに入団した当初。メジャーからやってきたベネズエラ人がこだわったことが一つだけあった。

「相手のデータをとにかく分析すること。それは、とても得意だったからね」

 投手のクセ、捕手の配球……。ビデオを見ながら自らの助けとなる、あらゆる情報を徹底的に洗い出した。見たことも聞いたこともない投手と対戦し、結果を求められる助っ人。何の情報もない島国でプレーし、生き残るため――。「ゲッツ!」「アイーン!」とパフォーマンスをする時に見せる優しい眼は、その裏で、鋭く他球団の隙を見抜いていた。

 それから13年後、史上初の外国人選手によるNPB通算2000本安打という偉業で結実する。「何よりも一番の宝物だ」という名球会のジャケットを手にし、名だたる歴代助っ人との差を決定づけたのは、眼力によるものが大きい。

 そして、長い現役生活で培われた眼は今、選手の才能を見抜く上で力を発揮している。例えば、網谷と細川がホームラン競演で脚光を浴びる、ほんの数日前のこと。「期待する選手は?」と問われた指揮官は、未来を予感していたかのように言い切っていた。以下が、そのコメントである。

「2人いる。1人は網谷です。彼はまだ19歳ですけど、すごくベストな打撃の技術を持っていますし、19歳であれだけできるのは信じられないくらい、素晴らしい打撃をしている。もう一人は、ドラフト5位の細川です。まだ18歳なのに、その年でのパワーは考えられないくらい桁違い。本当に、この2人は見ていて楽しみです」

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