高校代表コーチ陣は2年連続で同じ顔触れ 異例の布陣でW杯に挑む理由

コーチが見せた気遣い、「監督をやっている人だからできた配慮」

「自分が言おうと思っていることを先に言われると監督というのは迷いが生まれるものです。なので、最終的に私に決断をさせるように(言葉を)持ってきてくれた。これは普段、監督をやっている人だからできた配慮だと思います。そういうタイミングは気が合っていないと合わないと思います」

 もし、この場面で「監督、後ろにします」や「後ろでいきましょう」とはっきり言われると、指揮する人間は反対のシチュエーションを考えたくなるという。大藤コーチや米澤コーチも甲子園に何度も出場している名将。自分の中で采配の自信もあるだろう。それでも、監督が判断しやすい状況を作るため、言葉を選んでいた。小さな気遣いが大きなファインプレーとなった。その展開は無失点で切り抜けた。

 昨年の国際大会では選手への端的な助言、1点を取りに行く野球の徹底など、小枝監督のタクトは冴え、アジアの頂点に立った。しかし、指揮官は「選手のチームワーク、スタッフのチームワークもすごく大事だったし、大きかった」と優勝後に語った。30代の東コーチ、40代の米澤コーチ、50代の大藤ヘッドコーチ、そして60代の小枝監督。各世代から首脳陣を選出した裏には、次世代に国際大会の経験を伝えていきたいという小枝監督の考えもあった。

 W杯に向け、2年連続で同じコーチ布陣としたのは異例。初制覇のために、日本高野連も首脳陣の呼吸の良さを大切に考えたからだろう。そのほか、勝てるチームを作るために、第1次候補選手の発表時期をセンバツ直後ではなく、6月に変更するなど、これまでの高校日本代表とは異なる動きが出てきている。

 今秋、若き侍たちは栄冠を手にすることできるか――。最善を尽くして、世界一を目指していく。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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