レーサー、料理番組MC、起業…日米で対照的な野球選手の“第2の人生”
一般企業就職、大学院進学、起業…多岐に渡る3Aのベテランの引退後
さらにはマイナーリーグ、独立リーグと野球に関わり続ける場は多く存在するが、すぐさまその世界でセカンドキャリアをスタートさせる人間が多いという印象はない。何故ならメジャーのトッププレーヤーがいきなりメジャーのコーチや監督になれるという日本で見られるような人事は稀だというのも1つの要因だろう。偉大な選手であっても、何年かは指導者としての経験を積むためにバスに揺られてマイナーリーグで揉まれる必要がある。選手時代には、そこから這い上がり、メジャーだけを目指していた者たちが立場を変えて再び帰ってくるのだ。大変さを理解しているからこそ、相当な決心、もしくは野球が好きでなくては難しい。
マイナーリーグの現場では、現役選手たちもセカンドキャリアを意識する言葉を口にする。特に3Aという舞台ではメジャーの一歩手前とよく報道されるが、近いからこそ難しさも痛感する場なのだ。3Aのベテランたちは、野球だけでなく人生と向き合っている選手が本当に多い。彼らのセカンドキャリアは多岐に渡っている。すぐさま一般企業に就職した者、大学院に進学した者、自分で会社をおこした者。限界を感じ、自分の意思で引退した者はある程度の覚悟を持って次へ進めるかもしれない。だが、怪我によって急な引退を余儀なくされた選手にとっては、心の準備もする暇がない。
そんな中、HR王に輝いた経験があり、6度のオールスター出場を誇るプリンス・フィルダーは将来的にやりたいと思っていた料理番組のMCを務めることになった。3年間で椎間板ヘルニア手術を2度受けることになったためドクターストップが掛かり、思わぬ形での引退となったが、今は野球以外の道を歩み始めている。
現役選手がそのキャリアの終焉を迎えた時、第2の人生に選ぶ道は日米で様々である。野球界に残るもの、去るものそれぞれが自分に合ったセカンドキャリアへの選択をできる環境が整っていけば、さらに野球選手への夢も広がっていくのではないだろうか。
(記事提供:パ・リーグ インサイト)
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新川諒●文