キューバ主砲デスパイネ、侍Jが攻略するには 「デスパイネシフト」も有効か
スピードボールへの対応に強み、一線級の投手との対戦でも能力を発揮
もうひとつ、デスパイネの特徴について述べておきたい。代表戦には、原則として優れた投手が選ばれて出場するものである。特に日本の場合はそれが顕著で、侍ジャパンの投手とNPBの平均的な投手では大きな開きがあるだろう。デスパイネはシーズン中よりも高いレベルの投手を相手にすることになる。
代表クラス=NPBの一線級との対戦で変わることといえば、最もわかりやすいのは球速である。侍ジャパンでも時速150キロを越えるストレートを投げる投手がずらりと並ぶ。もしデスパイネが速球を苦手としていた場合、これは日本にとっては吉報となる。
左側のグラフは、球速帯別にストレートへの対応を見たものだ。スイング率から見ると、NPB平均、デスパイネともに球速が速ければ速いほど数字は上がっている。ボールが速いと打者がボールを見極めるための時間が短くなるため、遅い球ならボールであると見切って見逃せるコースであっても、うまく判断できずスイングしてしまう、というケースが増えるのだとみられる。
右側のグラフは、打席で投じられた全ストレートに占める空振りの割合(空振り率)を球速帯別に見たものだ。デスパイネは多くの長距離打者がそうであるように、全般的には空振りの多い打者なのだが、ストレートに限ると空振り率はリーグ平均レベルになっている。146キロ以上のストレートに対しての空振り割合は横ばいとなり、スピードボールへの対応力の高さが見て取れる。
つまり、速いストレートに対しては、一般的な打者と同様に“つられ”てスイングにいくケースが多いが、そうした場面のスイングであっても、ボールにバットを当てることはうまくやってのけており、簡単に空振りはしていないようだ。