依然パ最強打者の柳田悠岐に“弱点” 成績低下に影響する“打球”とは
パワーをうかがわせる一方で、ゴロの多い柳田
それでも柳田が2015年から成績を落としたのは確かである。wRC+は220から178に、他の選手との比較を用いない、攻撃力に対する絶対的な評価であるwOBA(weighted On-Base Average)(※3)でも.480から.435に下がっている。この低下の要因はどこにあるのだろうか。
柳田は、ひとたび本塁打が生まれたときの飛距離の印象からか、ボールを飛ばす能力が注目されがちだ。だが本塁打の数は、2014年から15本→34本→18本と推移しており、そこまで多いわけではない。
おそらく備えているであろうパワーの割に本塁打が増えていかない要因としては、柳田がゴロの多い打者である点が挙げられる。昨季のゴロ%(ファウルを除く全打球に占めるゴロの割合)は、パ・リーグ平均47.5%に対して55.3%と高い。本塁打を打つには角度をつけた強い打球を打つ必要がある。柳田は打球がそれほど上がらないタイプであるため、本塁打が増えにくいようだ。
しかし、これがそのまま柳田の欠点であるとは言いきれない。柳田のゴロは球足が速く、また走力の高さもあり、ゴロの安打が増えやすい。もちろん本塁打を打つこととの比較では小さなメリットになるが、柳田が示している四球をよく選ぶ能力に、この特徴が加わることで高い出塁能力を実現している。