依然パ最強打者の柳田悠岐に“弱点” 成績低下に影響する“打球”とは
柳田の特徴、引っ張った打球はゴロに、逆方向の打球はフライに
ただ、そのゴロについて気になる数字があった。その話にいく前に、まず打球方向別の成績を見てもらいたい。引っ張り(Pull)、センター(Cent)、逆方向(Oppo)とフェアグランドを30°ずつ3分割し、それぞれに飛んだ打球を使って(四死球や三振を喫した打席は対象としない)、wOBAを算出したのが図だ。
2014、2015年と昨季の成績と比較すると、Oppo、Centの成績は大きく変わっていないものの、 Pull、つまり左打者である柳田にとってはライト方向に打った打球が、昨季はよい結果につながっていない。2015、昨季の間で.503→.285と大幅に低下している。この.285という数字は、規定打席に到達したNPB選手全体の中で下から4番目だ。昨季の柳田は、引っ張った途端に、その強打が影を潜めていたことになる。
打球性質について調べると、その変化の理由が見えてくる。昨季、柳田のPull打球のゴロ%、フライ%は、それぞれ75.0%、18.8%。Oppo打球は24.1%、59.5%。引っ張った打球はかなりの割合でゴロになり、逆方向の打球はフライになるという傾向が強かった。柳田はゴロが多いという特徴に加え、「引っ張ってのゴロ」が多いという特徴も見せていたということがわかる。さらにその特徴は年々極端なものになっている。Pull打球におけるゴロ%は、2014年から66.7%→69.6%→75.0%と上昇しているのだ。
一般的に、ゴロ打球は長打の可能性が非常に小さいため、ゴロやライナーに比べうまみのない打球といえる。それはいくらゴロ安打が多い柳田でも同じことだ。最も長打になりやすい「引っ張ったフライ、ライナー」の割合が減っていることが、成績低下の最も大きな理由だろう。