侍J、勝利の立役者・千賀の勇気ある降板「失投して1点取られるより…」

「正直、今日は僕の代名詞と言われるフォークがよくなかった」

「正直、今日は僕の代名詞と言われるフォークがよくなかった」と言いながら、5回を無失点で投げ終えて球数は63球。制限の80球まで余裕はあった。小久保監督にも「6回を任せる」と言われたが、ここで千賀の責任感が状況を冷静に判断させた。

「6回も任せるって言われていたんですけど、前の回からちょっと足がつっちゃって。0-0の展開だったんで、それで失投して1点を取られるよりは代わってもらった方がいいかなと」

 投球動作で踏み出す右足のふくらはぎがつったのは「初めてだった」。順調な投球が続いていただけに、6回のマウンドに戻る道を選んでもおかしくなかったが、チームの勝利を考えた時、いらないリスクは取るべきではないと判断。千賀の勇気ある降板の後を継いだ2番手・平野が6回を3者凡退とし、その裏に4番・筒香が均衡を破る先制ソロをセンターへ運んだ。

 もし千賀が6回のマウンドに上がっていたら――。ピシッと抑えていたかもしれないし、イスラエル打線が失投を見逃さずに先制していたかもしれない。スポーツで「たられば」の話をするのはナンセンスだが、確かなことはリスクを回避した千賀の選択は正しかったということだ。

 安定化ある投球、そして勇気ある判断で侍を勝利へ導いた千賀の功績は、数字以上の大きさがあると言えそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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