「自分達が元気でいれば」 仙台育英、選抜に挑む「6年目の春」に伝えたい事

大阪入り前に収穫十分「リードした試合もリードされた試合も経験できた」

 9日に帰仙。10日の組み合わせ抽選会で初戦は大会4日目の第1試合で福井工大福井に決まった。翌11日は仙台育英のグラウンドで秋田商(秋田)と練習試合を行い、8-0で完封勝ちした。エース左腕・長谷川拓帆が先発し、佐藤令央、佐川光明、前武當とリレー。9回1死から四球を与えたが、それまでは1人の走者も出さなかった。

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地震発生の2時46分からサイレンに合わせて黙とうした仙台育英の選手たち【写真:高橋昌江】

 ここまで快勝を続けた仙台育英だったが、12日の岩手・一関学院戦は競った。4回に先制したが、すぐに逆転され、5回を終えて1-4とリードを許した。6、7回も淡泊な攻撃だったが、8回、2死二、三塁で4番・佐川光明の2点適時二塁打と5番・杉山拓海の適時三塁打で同点に追いついた。9回には1番・西巻賢二主将がファウルで粘った後に犠飛を放って勝ち越し。これが決勝打となり、5-4でものにした。

 佐々木監督は劣勢を跳ね返した試合に「無理やり、こういう試合はできないので皮肉になるけど、ピッチャーにはありがとう、と。ふざけて言っているわけではなく、必死にやって打たれたからいい。沖縄でもバッターが打っていたので、追い込まれた試合はできなかったですからね。こういう試合を経験できてよかったと思います」とプラスに捉えた。

 西巻主将も「甲子園に入る前にリードされた状態の試合ができたのは大きいです。1点が欲しい中、みんながつないでくれた。(8日からの練習試合で)リードした試合もリードされた試合も経験できた。やることはやってきたので、大阪に行ってからも残りの時間を有効に使っていきたいと思います」と話した。

 戦いに向けて調整する中で、心を鎮める瞬間もあった。3月11日だ。仙台育英は秋田商との練習試合だったが、午後2時40分頃から試合を一時、中断した。「本日、3月11日は東日本大震災から6年となる日です。東日本大震災で犠牲になられた方のご冥福をお祈りし、1分間の黙とうを行います」とアナウンスされた後、グラウンドにいた全ての人が、地震発生の2時46分からサイレンに合わせて黙とうした。

 2011年3月11日。当時、小学4年生と5年生だったのが、今回のセンバツ大会に出場する選手たちだ。あの時、仙台育英のグラウンド付近にも津波が押し寄せた。誰もが大変な思いをし、野球どころではない日々を過ごした。あれからまだ、6年しか経っていない。
「自分、3.11の日は必ず、動画を見るようにしているんです」と教えてくれたのは西巻主将だった。

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