「やっぱり怖い」 侍・小久保監督、運命の米国戦前に戦う“もう一つの敵”
気温34度&時差16時間で疲労蓄積を考慮…練習試合は炭谷を捕手ミットで一塁起用
第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で決勝ラウンドに勝ち進み、21日(日本時間22日)には準決勝でアメリカ合衆国と対戦する野球日本代表「侍ジャパン」。勝つか負けるか一発勝負の決戦を前に、アリゾナ州でカブス(同18日)とドジャース(同19日)と練習試合を行ったが、結果は2連敗だった。当初から「コンディショニング調整が主な目的」と語っていた小久保裕紀監督は、勝敗はまったく気にしていない様子。だが、この2戦を終え、指揮官を悩ませることがある。選手の疲労蓄積だ。
アリゾナは連日30度を超える猛暑。ドジャース戦の試合開始時の気温は約34度で、グラウンド上の体感気温は40度に迫る勢いだった。乾燥の厳しい土地でのデーゲームだ。日本での連戦と太平洋をまたぐ時差16時間の移動を考慮して、この練習試合2戦では「選手のコンディショニング調整が何より大事」と言い続けた指揮官だが、想像を超える暑さに「ちょっとやっぱり疲労が怖いですね」と心配げな表情だ。
選手に満遍なく出場機会を与えながら、満遍なく休養も取れるように、ドジャース戦で初先発マスクだった炭谷を、7回守備から一塁に回した。アリゾナ入り以来、内川が体調不良。一塁・炭谷は中田を休ませるための“緊急”起用だった。そのため「炭谷はキャッチャーミットでファーストを守ってましたから」と苦笑い。炭谷は一塁塁審に「そんなミットで守る選手は初めて見た」と驚かれたそうだ。
侍ジャパンは19日の試合後にロサンゼルスに移動し、20日(同21日)午前中に公式練習に臨む。午後はそのままフリーとなるが、決戦を前に休養を挟めることは、選手にとって大きな意味を持ちそうだ。
21日準決勝はアメリカ合衆国と対戦。1次ラウンド、2次ラウンドは“完全ホーム”の東京ドームが舞台だったが、今度は敵のお膝元、ロサンゼルスにあるドジャースタジアムで決戦が行われる。小久保監督は「完全アウェーのUSAコールの中でできることに、逆に幸せを感じてやりたいです」と力強く言い切った。球場内に響き渡るUSAコールを止めることができるのか。勝負はすぐそこまで迫っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count