「覚醒のアジャ」 巨漢ロッテ井上、美技&激走「あれじゃ小学生」が一変
V打を放ち、暴投で二塁から激走ホーム…守備では横っ跳び好捕「自然に体動いた」
「幕張のアジャ」ことロッテ・井上晴哉内野手(27)が、守備と走塁で覚醒したような別人のプレーを見せた。
20日の阪神戦に「5番・一塁」でスタメン。5回2死二塁で1番・上本の痛烈な一塁ゴロを好捕。スタンリッジのカバーが遅れ、間に合わないとみるや、117キロの巨体を揺らして一塁へスライディング。結果的には内野安打になったが「あれは素晴らしいプレーで、自分は言い訳できない」とスタンリッジも脱帽のプレーだった。
6回2死二塁では鳥谷の一二塁間を破ろうかという打球を横っ跳びキャッチ。「自然に体が動いた。なぜでしょうかね…」と不思議がっていたが、15日・神宮のヤクルト戦では三塁・高濱からのワンバウンド送球をグラブに入れながらポロリ。わずか5日前に伊東監督をして「あれじゃ小学生」と言わしめた同じ選手とは思えない動きだった。
足でも魅せた。1-1の5回2死一、二塁で「詰まってもいいヒット狙い」と左中間に決勝タイムリー二塁打。平沢の空振り三振が暴投となり、ボールは三塁ベンチ方向へ。これを見て、三走・パラデスばかりか、二塁から再び巨体を揺らし「躊躇しなかった。行けという感じ」と井上も本塁に突っ込んで4点目。バットと足でチームに得点をもたらした。
左腕・岩田の先発に、伊東監督はスタメンに1番から9番まで全て右打者を並べた。「左(投手)の時には、勿論こういう使い方もある」と伊東監督。頭にあるのはもちろん、31日の開幕戦・ソフトバンク戦。昨年の最多勝左腕・和田が登板するオーダーで、井口の起用法を含め思案のしどころだが、井上のスタメン一塁は現実味を帯びている。
「今日みたいなプレーを続けてできるように」と言うアジャの課題は、オープン戦残り4試合、どれだけ集中したプレーができるかにかかっている。
【了】
細野能功●文 text by Yoshinori Hosono