米国、スター軍団が自己犠牲と絆で掴んだ初V「オレ、オレ、オレではない」
「親密になりすぎることはできない」も…「一年中このチームでプレーできたら最高」
これまでのライバルをより深く知ることができたと明かす選手たち。ただ、絆を深めすぎることは諸刃の剣にもなる可能性がある。日本戦で先発したタナー・ロアーク投手(ナショナルズ)はクリスチャン・イエリチ、ジャンカルロ・スタントンというマーリンズの両外野手と同地区のライバルでもある。
「あまり親密になりすぎることはできない。少なくとも打者とはね。みんなと少しでも競争心を保たないといけない。つまり、彼らと話をするときには精神的な部分には深入りしない。自分にとっては、そこにはメンタルの戦いがあるから。イエリチとスタントンは最高なやつなんだけどね、残念」
絆が深まるあまり、MLBのレギュラーシーズンをチームUSAで戦いたいと希望する声も出ている。「一年中このチームでプレーできたら最高だろうね。少しお金はかかるかもしれないけれど、本当に楽しいだろうな」と話しているのは、今大会で好投を続けたフィリーズの中継ぎ変則右腕パット・ニシェク投手だ。
記事では、ヤンキースで名将としての地位を確立し、今回の米国代表のチーム編成を担当したジョー・トーリ氏のコメントも紹介。「アメリカ国旗の下に一つになるということは特別だ。この独特な状況が利他的な部分を作り上げる。オールスターゲームのようなものもあるけれど、国のためにプレーするというのはまた別なんだよ。いい意味でね」。米国野球殿堂入りを果たしているトーリ氏はこう語ったという。WBC4度目にして成し遂げた初優勝は、スター軍団が見せた自己犠牲精神と絆で勝ち取ったものだった。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count