1点をもぎ取り、1点を守り抜く―ロッテ、12年ぶりリーグ制覇への鍵は?

「1点」をもぎ取り、「1点」を守り抜く粘り強い野球

 また、千葉ロッテは、昨季限りで他チームを退団した柴田や、猪本、入団テストに合格した三家を迎え入れた。柴田、三家は俊足で、岡田や荻野などの脚力に優れた選手とともに、「足」を使った戦術で持ち味を発揮することができる可能性がある。

 1人で多くの打点を挙げるパワーヒッターが不足しているなら、足で得点圏に進み、相手投手にプレッシャーを与えて、コツコツと1点を取る機動力野球というのも、立派な選択肢の一つになるだろう。

 昨季、リーグ3位の防御率だった千葉ロッテの投手陣だが、左右のセットアッパーである南、松永を筆頭に、中継ぎの質は特に高い。主に益田、内の2人が務めたクローザーの安定感もリーグ屈指だ。

 先発投手は、最優秀防御率のタイトルを獲得した石川と、2年連続で2桁勝利を挙げた涌井を柱とし、実績のあるスタンリッジ、唐川などがローテーションを守る。春季キャンプとオープン戦では大嶺祐や二木が存在感を放っており、西野の先発転向、ドラフト1位入団の佐々木の台頭にも、大いに期待が膨らむ。

 なお投手陣の充実に関しては、昨季パ・リーグで最も多くマスクを被り、扇の要として機能した田村の貢献を忘れてはならない。まだ伸びしろが十分にある22歳。新シーズンもまた、レベルアップした姿を見せてくれるだろう。

 千葉ロッテでは、2013年の井口以来、シーズン20本塁打を放てる日本人選手が現れていない。長打力のある外国人選手を獲得しても、長期的な活躍の見通しは立てにくいため、チームは長年、得点力不足に喘いできた。強打者の素質に恵まれている井上など、将来が楽しみな若い選手もいないわけではないが、この課題を現実的に乗り越えるために、短くはない時間がかかると思われる。

 しかし、俊足巧打の選手が揃う打線と鉄壁のリリーフ陣を誇る千葉ロッテは、派手なホームラン合戦が不得手でも、「1点」をもぎ取り、「1点」を守り抜く、粘り強い野球ができる。今季こそ、北海道日本ハムと福岡ソフトバンクの2強体制に食い込み、12年ぶりのリーグ制覇を目指したい。

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