ソフトB和田、8回1失点開幕白星 満塁で渾身直球K「あそこがキーポイント」

続投志願で4度目大役全う、エースの矜持「延長考えたら1回でも長く」

 逆転勝利をもたらしたのは、紛れもなくエースの力投だった。ソフトバンクの和田毅投手が開幕戦・ロッテ戦で8回1失点の好投。先制点こそ奪われたものの、追加点を許さず。味方が逆転し、今季初勝利をつかんだ。

「久しぶりの感覚だった。いよいよ始まるんだな、という気持ちでした」という開幕戦のまっさらなマウンド。「僕の中ではすごい力んでいましたね」という初回だが、完璧な立ち上がりを見せた。岡田を三ゴロ、荻野を空振り三振、角中を投ゴロと三者凡退に切り、6回までわずか1安打でゼロを並べた。

 涌井との息詰まる投手戦。「彼はロッテのエース。勝ちたいのは誰しも、どのチームにもある。彼は大きい試合でいい投球するのも知っていたので、1点が重くなるなと投げながら、思っていた」。7回。角中、パラデスに連打を浴びると、1死一、二塁からダフィーに適時打を浴びて先制点を許し、「先に点を取られないようにと思って投げていたので、そこは悔しかった」という。

 ただ、ここから追加点を与えなかったのが、和田の凄さであり、勝負の分かれ目だった。2死満塁で代打・井口。「あの場面で井口さんが出てくると思っていた。あそこがキーポイントになりました」。2ボール2ストライクからの5球目。渾身のストレートは、引っ掛かり気味となったが、井口のバットは空を切った。

 その直後、力投に応えるように、打線が同点に追いつき、振り出しに戻した。7回終了時点で球数は102球に達していたが、8回も自らの意思でマウンドへ上がった。「8回どうすると聞かれて、相手の打者が左、右、左だったので、自分で行きますと。同点に追いついてくれたし、延長があると考えたら、1イニングでも長く、8回までは投げたいと思った」。エースとしての矜持。その8回を三者凡退に切ると、味方が勝ち越しに成功した。

「あそこでもう1本出れば、というところで踏ん張ってくれたのが大きかった。みんな緊張する中で、初回からいいピッチングをしてくれた。チームを代表して、いい投球をしてくれたと思います」と工藤監督も、最少失点で凌ぎ切った場面を挙げ、左腕に賛辞を送った。6年ぶり4度目の大役で、見事に勝利に導いた和田。日本一奪還へ、やはり、この男がソフトバンクの中核を担う。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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