ロッテに流れる「つなぎ」の系譜 開幕5連敗を阻止した主将・鈴木の意識
二塁コンバートに加え、3割超え目指して打撃改造にも着手
開幕4連敗の地獄から豪快なひと振りでチームを救った主将の意識。それは「つなぎの5番」だった。
5日の日本ハム戦。ロッテで主将を務める5番・鈴木大地が、5-6と1点ビハインドの7回に魅せた。日本ハムの中継ぎエースであり、侍J戦士の左腕・宮西に2球で2ストライクに追い込まれながらフルカウントまで持ち込むと、122キロのスライダーを強振。打球は右翼へ飛び込む、起死回生の逆転2ランとなった。
チーム今季初ホームランで開幕5連敗を阻止した鈴木に、その打席、クリーンアップの意識は全くなかったという。
「(打点が期待される普通の)5番とは考えていない。両外国人に挟まれているから、つないでいく意識しかない。バントでも四球でも、とにかく後ろにつなごうと。ヒットになれば最高の結果ですが、あの場面でもそのことしか頭になかった」
2球で追い込まれた。しかし、そこから粘れたのも繋ぐ意識があってのこと。ロッテの「つなぎの4番」と言えば引退したサブローだが、「つなぎの5番」鈴木はチーム打率1割台の中で、ただ1人打率4割台と孤軍奮闘している。
遊撃から二塁にコンバートされた今季は、キャンプから守備練習に加え、初の3割越えを目指して打撃改造にも取り組んできた。バットを構えた時、若干グリップの位置を下げた。そんな努力も実っている。
そして何より冴えたのが、的確な読みだ。「スライダーの意識が強かった。真っすぐなら何とかファールに(できる)」と、宮西の決め球を待って最高の結果に結びつけ、本拠地で声援を送るファンを感動させた。
「オープン戦でよかったので、少し焦りもあった。相手のミスもあるが、一つ勝って流れが変わると思う」と鈴木。試合後は本拠地恒例の儀式に酔った。お立ち台から応援団の集まる右翼席前まで走ると、初勝利に沸くファンと一緒に「WE ARE CHIBA LOTTE」と大合唱。
「すごく気持ちがよかった」
開幕5戦目にして、ようやくキャプテンに底抜けの笑顔が広がった。
【了】
細野能功●文 text by Yoshinori Hosono