10球団15人のスカウト熱視線 プロ注目の仙台大右腕が求める「生きた球」
球速よりも求めるモノ、「数字は出ているけど、納得していません」
馬場の最速は153キロ。体に力のあるパワー系の右腕でスライダーとのコンビネーションが冴える。この日は仙台大のスピードガンで149キロを2度マークしたが、球速はあくまで目安。馬場は「数字は出ているけど、納得していません。ボールにスピンをかけることを意識しています。回転数やキレなど球質を求めて投げていきたい。試合で安定して投げないといけないと思っています。客観的に誰が見ても安定しているピッチングをしたいです」と語る。理想のボールにはまだ遠く、チームに安心感を与えられる投手にもなれていない。
だが、リーグ戦は始まったばかり。ここからステップアップしていくつもりだ。1年春からリーグ戦のマウンドを経験し、仙台大初のプロ野球選手となった横浜DeNA・熊原健人投手の背中を見てきた。また、プロにはなれずとも手本とする先輩投手を見習い、腕を磨いてきた。
球速を求めていた時期を“卒業”し、質にこだわっているからこそ、自己分析ができ、課題を把握できる。「ミットに生きた球を投げられるようにやっていきたい」と話す馬場。次戦以降、納得いく投球ができるよう、また1週間の練習に励む。
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高橋昌江●文 text by Masae Takahashi