“43秒の沈黙”が生んだ感動 イチロー凱旋弾に米実況&解説が粋な計らい
「何てドラマチックなんだ」「これ以上の脚本を書けますか」
その間、実況と解説は一切、言葉を挟まなかった。異例の43秒間の沈黙とともにその情景を克明に映し出すことで、イチローの凱旋弾という最上級の“ドラマ”はさらなる感動を呼んだ。
ゴードンが打席に立つと、ウォルツ氏は「何てドラマチックなんだ。ワオ」と吐き出し、ようやく沈黙を破った。
ホランズワース氏も「(イチローは)驚いているんでしょうか? 私はそうは思いませんが。これ以上の脚本を書けますか?」と語り、「タイミングの問題だったのでしょう。スイングが戻ってきた実感を感じ始めているようです」と続けた。
ウォルツ氏は最後に噛みしめるようにこう語った。
「セーフコ・フィールドでの最後の打席になる可能性があります。セーフコ・フィールドはイチローのキャリアで殿堂入りを確固たるものにした場所です。そこでイチローがホームランです」
地元テレビ局の約43秒の沈黙という異例の計らいが、シアトルでのイチローの凱旋弾のドラマ性を一段と際立たせていた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count