日本ハム大田が人生初のサヨナラ打「気持ちも全部ファイターズに捧げる」

巨人からトレード移籍の未完の大砲「今は野球を心から楽しめる」

 日本ハムの大田泰示外野手が3日、本拠地でのロッテ戦で人生初のサヨナラ打を放った。1-1の同点で迎えた9回無死満塁、ロッテの守護神・益田のスライダーを中前に弾き返した。巨人から移籍1年目。初めて上がった札幌ドームのお立ち台で開口一番「幸せですね」と喜びを噛み締めた。

 先頭の4番・中田が中前打を放った時から心の準備はしていた。レアードの二塁打で二、三塁。田中賢が敬遠されることは想定済みで立った打席で、初球スライダーを思い切り空振りした。「積極的にいくしかない。考えているうちに差し込まれてしまう。とにかく来たボールに対して前に飛ばしていくこと」と、続く2球目の低めスライダーに再びバットを出した。打球は益田の足元を抜け、前進守備の二遊間を悠々と抜けていった。

 未完の大砲が、4万1138人の前で放った泥臭いサヨナラ打。「結果を出して、ファイターズの一員になれたことも良かったですけど、気持ちも全部ファイターズに捧げるつもりでここに来ている。北海道のファンの皆さんの前で打てたことが嬉しい」。チームメイトから祝福の水をかけられ、もみくちゃにされた大田はしみじみと言った。

 環境の変化がプラスに作用している。「以前はプレッシャーとの戦いがあったし、試行錯誤があった。今は野球を心から楽しめるし、素直に取り組める環境が整っている。ファンも温かくて一体感がある」と感謝の言葉を口にした。

 この日のお立ち台では、律儀にファンにあいさつした。

「はじめまして大田です。トレードで来ましたが、ファイターズの戦力になれるよう力いっぱい頑張ります!」

 本拠地初登場した4月29日楽天戦では豪快な1号アーチを放ち、この日は気持ちで食らいつくサヨナラ打。豪快さと泥臭さの両面を見せつけた大田は、本拠地登場4試合目にして北海道のファンを魅了した。

【了】

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa

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