「あの2校との差は大きい」―大阪の“秋の王者”上宮太子が抱く思い

複雑な感情で見た大阪桐蔭と履正社の選抜決勝…昨秋の大阪府大会を制した上宮太子

「今年は大阪で春8試合、夏も8試合しよう」

 これが上宮太子の合言葉だ。

「昨秋は大阪で優勝させてもらいましたけれど、実際はチームとしては大きな武器があるわけではなく、幼いチームなんです。でも秋に大阪で優勝したのにセンバツに出られず、色んなかたちで取り上げてもらうこともあって……。でも、だからと言って子供たちは勘違いしていないのは確かです。こういう接戦でもきっちり勝てたのは良かったです」

 4日に行われた春季大阪府大会5回戦の興国との試合を3-1で制し、試合後、ベンチ裏での囲み取材でこう語った日野利久監督。エース右腕の森田輝の力投もあり、パワーのある興国打線を相手に5安打1失点にまとめた。打線は苦しみながらも中盤以降に着実に追加点を挙げベスト8に進出。6回、7回は走者を出しながらいずれも併殺でピンチを切り抜けるなど、堅守も光った。

 3月に行われた選抜。大阪桐蔭と履正社の大阪勢同士の決勝となり、大いに注目を集めたが、最も複雑な感情を抱いていたのは上宮太子ナインではないだろうか。昨秋の大阪府大会で、上宮太子は決勝で履正社を10-3で下している。大阪桐蔭とは直接対決はなかったが、大阪1位として秋の近畿大会に臨んだ。だが、その近畿大会の準々決勝で神戸国際大付に3-11と7回コールド負けを喫した。6回表までは1-2という接戦だったが、6回の裏にエースの森田が突如崩れた。その隙を神戸国際大付打線は見逃さず連打を重ね、ズルズルと点差だけが広がっていったのだ。

 とはいえ、大阪1位校であるため通常なら選抜選考対象としては有力候補に挙がるはずだったが、2位の履正社は近畿大会で優勝。3位校だった大阪桐蔭もベスト4と選抜“当確圏内”であったことと、同一府県から3校は選出しないというルールが上宮太子にとって最大のネックとなった。結局補欠校となり、奇しくもその2校が選抜のファイナリストとなっていた。

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