4試合で4本塁打…今季1軍で覚醒した「2軍の強打者」ソフトバンク上林

1軍昇格のチャンスに恵まれずに引退したロッテ青松

 イースタン・リーグの過去3年の安打数ランキングを見てみよう。

○2014ー16年ウエスタン・リーグの安打数ランク
            試合  安打  HR   点
1.青松敬鎔(ロ)    305   287   41   169
2.松本剛 (日)    250   258   11   91
3.岸里亮佑(日)    291   254   6    58
4.加藤翔平(ロ)    199   253   21   105
5.山川穂高(西)    216   238   54   173
6.三好匠 (楽)    234   217   19   118
7.井上晴哉(ロ)    181   216   36   136
8.石川慎吾(日・現巨) 202   214   21   104
9.辻東倫 (巨)    260   214   6    72
10.中川大志(楽)    238   210   20   123

 最多の287安打を打っていたロッテの青松は、昨年限りで戦力外となった。「2軍の強打者」のままキャリアを終えたのだ。ロッテの井上晴哉や加藤翔平、西武の山川穂高などは、1軍でも活躍し始めているが、一方で、チャンスに恵まれず、青松のように球界を去るケースもある。

 ドラフト上位で入団した選手の中には、1年目のキャンプで頭角を現し、開幕1軍、スタメンと順調に出世して、2軍知らずでレギュラーになる選手もいる。昨年の楽天・茂木栄五郎や、今年の西武・源田壮亮などがそうだ。

 しかし、ロッテの井上のように与えられたチャンスを活かせなかったり、評価が低くて1軍ロースターに入ることができなかった選手は、2軍でも厳しい競争に勝ち抜かなければならない。「2軍の強打者」は、実力だけでなく、こうした事情や運も作用して誕生するのだ。

 上林が強打者ぞろいのソフトバンク2軍で抜擢されたのは、好打、快足に加えて、21歳という「若さ」が大きかったのではないかと思われる。

 MLBでは、マイナーで好成績を上げているのにメジャーに昇格できない若手選手が他球団で新たなチャンスを得られる「ルール5ドラフト」とい制度がある。他球団に移籍した後にレギュラーの座を獲得し、スター選手になった例もたくさんある。

 NPBにもこうした制度があればいいかもしれない。

 1人でも多くの「2軍の強打者」が、1軍で活躍の機会を得てほしいと思う。

【了】

広尾晃●文 text by Koh Hiroo

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