BABIPから読み取るペナントレースの動き 混戦模様のパ、一方のセは…

「本塁打を除く打球が安打になる率」はおおよそ3割で推移

 5月も半ばを迎え、開幕から好調に走っていたチームにやや陰りが見え、不振だったチームが回復傾向にあるようだ。今年のプロ野球は、早くも“第2幕”に入った感がある。

 ここからペナントレースはどんな様相を呈するのか。今後のリーグの動向を「BABIP(Batting Average on Balls In Play)」で占ってみよう。

 この指標は、1990年代にボロス・マクラッケンというセイバーメトリクスの研究家が考案した数値だ。「本塁打を除く打球が安打になる率」で「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になる割合は、投手のタイプに関わらず大体3割になる」という法則に基づいている。そんなバカなと思われるかもしれないが、この法則の正しさは、他の複数の研究者から追確認されている。

 その理論に基づくと、打者の場合、現在この数値が3割より高い場合は今後は打率が下がり、3割より低い場合は上がる傾向にあると言えそうだ。チームとしてのBABIPを見ても、同じことが言えると仮定できるだろう。

 両リーグのチーム打率とBABIPを見ていこう(5月10日時点・筆者独自データに基づく)

○パ・リーグ
楽天…打率.271、BABIP.298
ソフトバンク…打率.263、BABIP.299
オリックス…打率.256、BABIP.298
西武…打率.252、BABIP.291
日本ハム…打率.229、BABIP.271
ロッテ…打率.186、BABIP.232
リーグ平均…打率.243、BABIP.282

 上位4チームのBABIPが3割近くなのに対し、日本ハムは.271、ロッテは.232と低い。ロッテはチーム打率1割台と歴史的な低打率になっているが、BABIPの理論を当てはめれば、これから打線は回復する可能性が高い。日本ハムも同様と言えるだろう。他の4球団の打線は妥当なBABIPなので、このまま調子を維持しそうだ。

○セ・リーグ
阪神…打率.255、BABIP.304
広島…打率.275、BABIP.333
巨人…打率.253、BABIP.306
DeNA…打率.243、BABIP.294
ヤクルト…打率.236、BABIP.280
中日…打率.245、BABIP.297
リーグ平均…打率.251、BABIP.303

 広島のBABIPが.333と極端に高いことが分かる。この打撃力で最近まで首位を走ってきたが、今後、打線は下降線を描く可能性が高そうだ。またBABIPが.280とリーグ最下位のヤクルト打線は、これから上向きになるだろう。

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