「超二流でいい」― “神走塁”鈴木尚広が東京五輪目指す女イチローに持論

試合7時間前に球場入りした鈴木氏「ちょっとした余白を自分に残すと慌てない」

――野球以上のスピード感がある中で、山田選手が心がけていることは。

山田「私は配球を読みます。例えば、相手の心理状態とか、投手、捕手でどちらが主導権を握っているとか、試合の中でどのボールが調子いいとか、観察しながら打っている。そういう観察力はあるのかな。あとは打てないと思うところがない。内外、高低、苦手なところがないと思っています」

鈴木「苦手なところがないなんて普通、言えない(笑)。僕も弱点はあるし、データで弱いところが出る。打てる打てないではなく、それだけバットコントロールで対応できるということだと思う」

――準備を大切にする姿勢は2人とも共通する部分か。

鈴木「天性の才能だけで長くできることはないと思う。僕はそう思うので、準備する中で気付きや成長がある。自分の能力を高めるのは自分しかいない。それをこなしていくのが、持っている能力を引き出す上で大事になる」

山田「私も同じ考えです。ソフトボールだけでなくプロ野球を見ていても、何をしていてもすべてが競技につながると思っているので。あの人は何を考えているのかな、どういう意図でこういう番組を作ったのかとか、すべてをつなげる意識をもっています」

鈴木「シンプルにソフトボールが大好きなんだよね。そうじゃないとここまでいかないし、自分が好きだから高められる。何か重ね合わせるというのは僕にもあった。話を聞いていると、ソフトが大好きで懸けてやっているなと。共通する部分を僕も感じています」

――準備という面では、鈴木さんは現役時代、球場入りがチームで一番早かった。

鈴木「準備のよしあしは誰も決められないから、自分が決めるしかない。長く準備しているから結果が出るわけでもない。ただ、僕はやるべきことが決まっていた。急に物ごとを頼まれた時、人間は心理的に焦る。そうなると心に余裕がなくなるのが嫌なので、何かあった時のために、ちょっとした余白を自分に残しておこうと。そうすると、慌てない。まだ時間があるからと余裕を持たすことで、心の余裕となり、準備の余裕となる。そのために試合の7時間前から球場に入って準備をやってきた」

山田「私は切羽詰まったり、急いだりするのが嫌い。だから、すごく早起きして準備する。自分のペースが乱されるのが嫌なので、淡々と自分がやりたいような準備をする。時間や心に余裕が必要というのは私も分かります」

鈴木「何かやってる時に話しかけられるの嫌でしょ?」

山田「嫌です(笑)」

鈴木「近づけないオーラを出す人もいるけど、年を重ねていくと自分はなくなってきた。それは余裕があるからだと思う。逆に決まったことを突き詰めてやるので、余裕がないなと思うようになった時もある。なので、いかにうるさい中で集中できるか、みたいな練習もやったりした。わざとうるさいところに行ってトレーニングする。普通は誰かが話していると、そっちに意識がいっちゃうけど、そういう環境で自分の意識でやれるかどうか。そうすると、代走で出て行っても何もとらわれなくなる」

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