「超二流でいい」― “神走塁”鈴木尚広が東京五輪目指す女イチローに持論
「だから超二流でもいい」…鈴木氏が考える「一流と思う人の条件」とは?
――鈴木さんは昨年で20年に及んだ現役を引退。引き際の感覚は。
鈴木「辞める時は潔かった。未練もないし、やることやったし、やり切ったし、出し切ったし、年々充実感が沸いてきたし……。その中で自分でもういいと思った。これ以上は、潔くなれなくなるまではやりたくなかった。それは自分の生き方。どう思われようと自分の道なので関係ない。でも、20年やれたということが、これ以上ないくらい素晴らしいもの。よくやったなあいう充実感だけ。もうやりたいとも思わないので、そのくらいまでいくと潔く辞められると思う」
山田「私は東京五輪に出たい。なので、3年間はやる。その先は動けなくなってまでやりたくないので、自分の思うように結果が出なくなったら辞めると思います」
――山田選手は33歳。30代に入って引き際について考える機会は。
山田「どのくらいまでやっているんだろうとは思う。ただ、技術力が落ちている感覚がない。体力は多少気にはなっても、技術的にはまだまだ成長できると思っています。だから、引退というのは考えてない」
鈴木「まだ技術が上がっているというのは、とてもいいことですね」
山田「逆に鈴木さんに聞きたいんですが、この人は一流だなと思う人の条件はありますか?」
鈴木「どんなことも簡単にこなす人は一流かな。あとは逆境に強い。超一流になると、自分でどんなことも処理できちゃうから、人に弱みを見せない。自分を持っていて、存在感がある人というのは一流の条件かな。あとは立ち振る舞い、言葉、身だしなみ、どこに限らず、一流の人は隙を見せない。僕は一流ではないけど」
山田「二流が一流になるにはどうしたらいいですか?」
鈴木「超二流でいいんじゃない? 一流にならなくてもいいと思う。僕は超二流。一つのことをやるしかないから超二流でしょう。何でもできるのが超一流なわけだから。だから、超二流でもいい」
山田「二流が一流になる必要はない?」
鈴木「組織において欠かせない存在になればいい。スタメンで出る人、途中から出る人、チームにはいろいろいるし、立ち位置も違う。スタメンだけが野球の場合は超一流。それでも、野手なら代打、代走、守備固め、投手なら中継ぎ、左のワンポイント、抑え、ロングリリーフ、そのポジションで必要になればいい。僕は走攻守において走塁で必要とされてきた。超二流でも欠かせない存在になれば、チームにとっては一流だから。山田選手は一流の存在。一流の人は影響力もあるし、言葉にも責任も出てくると思うので、若い選手にそういうことを伝えてあげることはいいんじゃないかな」
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count