日本人最速50勝&6人目到達のダルビッシュ、他の5人を凌いだもう1つの記録
日本人6投手の50勝到達時の成績を比較
MLBには、通算100勝以上を記録した投手が史上609人もいる。50勝は大きな数字ではないが、キャリア半ばでNPBから転身することが多い日本人投手にとって、1つの目標となるだろう。
16日(日本時間17日)本拠地フィリーズ戦で、ダルビッシュは日本人投手6人目のメジャー50勝を到達した。節目に達成した順番に、6人の50勝時点での成績を追いかけてみよう。
○野茂英雄:1999年5月9日 30歳
1998年途中にロサンゼルス・ドジャースからニューヨーク・メッツにトレード移籍。1999年はカブス傘下3Aで開幕を迎えるが、間もなくミルウォーキー・ブルワーズに移籍した。通算50勝まで1勝と迫っていた野茂は、この年メジャー初先発だった5月9日サンフランシスコ・ジャイアンツ戦で6回1/3を2失点(自責1)と好投し、日本人投手初となるメジャー50勝を達成した。
MLBデビューから5年目、124試合目の登板で、通算50勝41敗、防御率3.64。
キャリアでは123勝109敗 防御率4.24だった。
○大家友和:2007年4月29日 33歳
トロント・ブルージェイズに移籍した1年目だった。テキサス・レンジャーズ戦で5度目の先発をし、7回を投げて1失点(自責1)で達成。しかし、6月18日に解雇された。
MLBデビューから9年目、179試合目の登板で、通算50勝60敗、防御率4.07。
キャリアでは51勝68敗 防御率4.26だった。
○黒田博樹:2012年7月18日 37歳
ドジャースからヤンキースに移籍した年に、7月18日トロント・ブルージェイズ戦で先発。7回コールドゲームだったが4安打零封、自身3度目の完封で達成した。
MLBデビューから5年目、134試合目の登板で、通算50勝53敗、防御率3.45。
キャリアでは79勝79敗、防御率3.45だった。
○松坂大輔:2012年8月27日 31歳
ボストン・レッドソックスでの6年目。この年、6度目の登板となった8月27日カンザスシティ・ロイヤルズ戦だった。7回を投げて1失点(自責0)の好投で、シーズン初勝利が通算50勝目となった。松坂はデビューから2年で33勝を挙げ、3年目には50勝をクリアかと思われたが、そこから低迷した。
MLBデビューから6年目、112試合目の登板で、通算50勝33敗、防御率4.29。
キャリアでは56勝43敗、防御率4.45。
○岩隈久志:2016年5月25日 35歳
シアトル・マリナーズでの5年目、5月25日オークランド・アスレチックス戦で達成した。この試合は7回を投げて3失点(自責3)の内容で、シーズン3勝目だった。
MLBデビューから5年目、121試合目の登板で、通算50勝29敗、防御率3.27。
現在までの通算では63勝39敗、防御率3.42。
○ダルビッシュ有:2017年5月16日 30歳
テキサス・レンジャーズでの6年目、交流戦として行われたフィラデルフィア・フィリーズ戦に先発し、7回を投げて1失点(自責1)での勝利。シーズン4勝目、日本人6人目となる50勝を達成した。
通算では109試合目の登板で、50勝32敗、防御率3.25となっている。
ダルビッシュの109試合目での50勝到達は、日本人選手としては最速記録。また、到達時点での防御率も一番良かった。本人は「もう少し早くできると思った」と言ったようだが、トミー・ジョン手術でのブランクがある中での6年目、実働5年での達成だった。
50勝を達成した投手の中には、節目から1勝追加にとどまった大家友和、6勝を追加した松坂大輔のように、メジャーでのキャリアを終える間際での到達だった投手もいるが、ダルビッシュはまだ働き盛り。他球団移籍の話も出ているが、野茂英雄に次ぐ2人目の100勝も十分に可能だろう。
ダルビッシュに続く投手としては、田中将大の44勝18敗を筆頭に、上原浩治が20勝24敗、前田健太が19勝13敗、田澤純一が18勝21敗となっている。彼らは最終的に勝ち星をいくつ積み上げられるだろうか?
【了】
広尾晃●文 text by Koh Hiroo