楽天ドラ3田中、プロ初弾が決勝2ラン 梨田監督「トリプルスリーも狙える」
延長12回に劇的な決勝弾、敵捕手の驚愕「あのスイングはすごかった」
楽天ドラフト3位のスイッチヒッター田中和基外野手のバットが、20日のロッテ戦で風速9メートルのマリンの逆風を強烈に切り裂いた。
前夜の9回代走で涌井の初球に二盗を成功させ、その後に生還して延長に持ち込んだ思い切りのいいプレーが評価されてプロ初スタメンに抜擢。そして、代打アマダーが敬遠気味に歩かされた0-0の延長12回2死一塁の場面で、フルカウントからロッテのルーキー土肥の137キロ直球を左翼席最前列に叩き込み、決勝2ランとした。
「ボールは見えなかった。感触が良くて、いったかなと思った。あの打席では、一番リラックスして、普段通りに打席に入れた」と田中。延長に入るまではガチガチで、3回、5回、7回と3打席連続三振。4打席目の延長10回にルーキー有吉からボール気味の141キロ直球を左中間二塁打として、一気に覚醒した。
同じ立大終身の長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督は、4打席4三振のプロデビュー。「長嶋さんにはなれなかったね」と笑う梨田監督も「いいものをもっている。身体能力が高い。守備もこなすし肩もいい」と50メートル5秒89の足と、遠投120メートルの肩に加えて、一発の魅力がある好素材に「トリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)も狙える」と頬を緩めた。
3三振は左打席だったが、プロ初アーチは右打席。イースタンでは18試合に出場して4本塁打で、2本が右打席でのもの。ルーキーに痛い一発を浴びたロッテの田村捕手は「土肥もストレートで勝負したかったようだし、配球は間違っていないと思うが、2球目、3球目のファール、あのスイングは凄かった」と驚いた。田中にとって、理想のスイッチヒッターはチームメートの松井稼頭央で「あのきれいなスイングを真似したい」と大先輩の背中を追い求めていた。
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細野能功●文 text by Yoshinori Hosono