「気の抜けた姿に見えた」―ロッテ、伊東監督の異例のゲキから久々勝ち越し
初回の3者連続三振に“怒”、2回の円陣で自らゲキ「岸のテンポにさせるな」
ロッテが21日の楽天戦で11カードぶりの勝ち越しを決めた。伊東監督は、20日の試合後に「話にならにない」とコメントしたダフィー、パラデスの両外国人を見切り、先発から外して純国産オーダーで臨んで3-2で勝利。4月13日のオリックス戦以来、約1か月ぶりのカード勝ち越しとなった。
8回2死までに楽天先発・岸に11三振を奪われる苦しい展開。4回の大嶺翔の左前適時打による1点に抑えられていたが、8回に中前打の井口を一塁に置いて、鈴木が2死から劇的な逆転5号2ラン。9回は肘に不安を抱える内にあえて3連投のマウンドを託し、1点差を守り切った。
2回裏には監督自ら円陣で激しいゲキを飛ばす異例の光景が見られた。唐川が初回に茂木に初球を先頭打者アーチとされ、その裏に先頭の荻野貴が見逃し、柴田が空振り、根元が見逃しと3者連続三振に倒れていたため「ストライクを打たないから。気の抜けたような姿に見えた」と堪忍袋の緒が切れた。キャプテンの鈴木によると「岸のテンポにさせるな」「一番いい真っ直ぐを打ちにいけ」と消極姿勢を厳しく戒めたという。
カード初戦の19日、勝ち星こそつかなかったが、涌井が9回まで気迫の投球を見せた。「気迫の投球をしてくれて、その背中に選手もそれぞれ感じたものがあったと思う。この3連戦に関しては、頭の涌井のピッチングがこういう形を生んでくれた」と“涌井効果”がカード勝ち越しの要因になったと語った。
初戦の19日に続く2桁10安打も、チーム打率は依然.193と得点力不足は歴然だが、投手陣の頑張りが光る。23日からの敵地ソフトバンク戦では、いよいよ石川も復帰する。「(開幕の)福岡から(3連敗で)始まってどん底になった。向こうに行ってカツを入れてやります」と伊東監督は雪辱へ、改めて気合を入れ直していた。
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細野能功●文 text by Yoshinori Hosono