通算250号に到達 ロッテ井口の携帯電話に届いた王貞治氏のメッセージ

「打撃フォームは永遠に完成をしないもの。それでいい」

 当時、いろいろな方面から様々なアドバイスが飛び込み、混乱をしていた若者にとって王監督の助言はいつも心に残り、シンプルだった。自身の経験を元に伝えてくれた。

「相手の投手が足を上げたら自分も足を上げる。投手が足を下ろしたら自分も足を下ろす」

 気持ちが楽にさせられた事も多々あった。

「フォームが完成をすることはない。毎日違う」

 打撃スタイルの完成を追い求め、焦る毎日を過ごしていた井口にとって世界の大打者のこの一言で「打撃フォームは永遠に完成をしないもの。それでいいのだ」と開き直れるキッカケとなった。例えを出すことも多かった。

「ゴルフでドライバーを打つような感覚で打てばいいんだよ」

「トス打撃の時のような感覚で打ってみろ」

 そのたびにいつもハッとさせられ、感覚を掴んだ。

 球場のお風呂で練習前や試合後に声をかけられることもよくあった。忘れられない言葉がある。シャワーを浴びていると、隣接するサウナ室から出てきた王監督が隣に立ち、何気ない感じでボソッと話し出した。

「オレも若いころは三振王って呼ばれていたんだよ」

 その言葉が当時、タイミングの取り方に深く悩んでいた井口の心にスッと入ってきた。世界のホームラン王と言われる大打者ですら悩み苦しんでいた時期があったことに気持ちが落ち着いていくのを感じた。

「球場には監督室にもお風呂があったと聞いている。今思うとボクらとコミュニケーションをとるために、わざわざ出てきてくれたのだと思っている」

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