ソフトB先発ローテの救世主・石川抜擢の思惑、コーチ「セ・リーグには…」

7日ヤクルト戦先発の可能性、佐藤投手コーチ「(他に)いないもん」

 ソフトバンクの石川柊太投手がプロ初先発初勝利を飾った。5月31日の中日戦(ヤフオクD)。6回6安打2失点の好投を見せた育成出身の4年目が、念願のプロ初白星を掴み取った。

 和田、武田を負傷で欠き、摂津や寺原、大隣といったベテラン投手が軒並み不振に喘ぐ。盤石と言われていた台所事情が窮地に陥り、主にロングリリーフ要員として結果を残していた右腕に、大役が巡ってきた。

 打者3人に投げた27日の日本ハム戦(札幌D)から中3日というスクランブル先発だったが、首脳陣の期待に応える好投。これに佐藤義則投手コーチは「ストライクが入ったし、真っすぐも強かった。低めに投げられるコツが出来てきている」と高い評価を与えた。

 この日の先発。佐藤投手コーチの中には、ある狙いがあったという。

「セ・リーグには、ボールが強い方がいいかな、と。セ・リーグの打者は、パ・リーグの打者みたいにブンブン振るわけじゃない。広島は別だけどな。コツコツ来る相手には、ボールに力がある方がいいかな、と」

 精密なコントロールはないが、150キロを越える真っすぐが武器の石川。ボールの力で押し込め、1発のリスクが低いため、ストライクゾーンにどんどん投げ込めれば、抑え込めると踏んでいた。

 右腕はテンポよくゾーンに投げ込み、終わってみれば、無四球の内容。「スピードもあったし、ベースの上に行っていた。素晴らしかったんじゃないの」と佐藤コーチ。まさに、思惑通りの内容だった。

 次回の登板について、工藤公康監督は「彼はリリーフとしても貴重。先発かは考えるけど、先発で使ってみたいと思うピッチングだった」と濁したが、佐藤コーチは「(他に)いないもん」。次週7日のヤクルト戦(ヤフオクD)でも先発する可能性が高い。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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