2A中後悠平にかかるMLB記録の命運…米メディアが元ロッテ27歳左腕に注目

1994年以来続く日本生まれの系譜

 ダイヤモンドバックス傘下2Aで今季開幕を迎えた元ロッテの左腕、中後悠平投手が、意外な形で注目を集めている。アメリカに渡り2年目を迎えた中後は、5月30日現在、2Aで17試合に登板し、1勝1敗1セーブ、防御率3.71の成績。念願のメジャーデビューを目指して努力の日々を送るが、今季デビューが叶えば、あるメジャー記録が継続されるという。MLB公式サイトが「Dバックス有望株、中後悠平が23年連続メジャー記録を繋ぐ最大の希望」と題した特集記事で紹介している。

 中後にかかる23年連続メジャー記録とは、日本で生まれた選手のメジャーデビュー記録だ。1995年に野茂英雄氏がドジャースで衝撃のデビューを飾ったことは知られているが、実はその前年1994年、東京生まれの一塁手ジム・ボウイがアスレチックスでメジャーデビュー。以降、昨年のドジャース前田健太投手まで23年連続で、日本生まれの選手がメジャーデビューを果たしているという。

 だが、昨オフは日本球界からメジャー移籍した選手はゼロ。記事によれば、日本生まれでメジャーデビューを果たしていない選手は、ブルワーズ傘下1Aの右腕で静岡生まれブラジル育ちのダニエル・ミサキ、そして中後の2人だけだという。だが、ミサキはトミー・ジョン手術を受けたために昨季を棒に振っており、1A以上のレベルでプレー経験がない。となると、連続デビュー記録を繋ぐ最後の期待は、中後のデビューに掛かる。

 記事では、中後をダイヤモンドバックス伝説の左腕ランディ・ジョンソンになぞらえ、“ジャパニーズ・ビッグ・ユニット”と呼び、ロッテを戦力外になってから渡米するまでの経緯を紹介。「ジョンソンのような速球はないが、曲がりの大きなスライダーと、腕の角度を変える投球スタイル」を持つと評価している。

 今季は2Aでやや苦戦する場面も見られるが、三振を多く奪うスタイルは健在で、26回2/3を投げて30奪三振を記録。ダイヤモンドバックスで育成部門の責任者でもあるマイク・ベル氏は、記事の取材に対して「野球は非常に難しいスポーツ。誰にも好不調はある。ユウヘイは入団以来素晴らしい働きをしている。ここまで順調だ」と話し、「メジャー投手として、チームの力になると信じている」と近い将来のデビューに期待を寄せたそうだ。

 ダイヤモンドバックスは5月終了現在、33勝22敗でナ・リーグ西地区首位争いを繰り広げている。シーズンはまだ100試合以上を残すが、中後にメジャーデビューのチャンスは回ってくるのか。そして、日本生まれ選手のメジャーデビュー記録が24年に伸びるのか。27左腕の飛躍を期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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