現役NBA選手も登場 プロ野球の始球式はどう選ぶ? 人選の舞台裏とは…

シリーズの象徴的なゲスト登場で盛り上げ&メディア露出の側面も

 さらには、当日のゲームやシリーズの象徴となる者を選定する場合も多い。例えば、先日開催された「やきゅウーマンシリーズ」では、野球女子を代表して茨城ゴールデンゴールズの監督兼選手である片岡安祐美さんがセレモニアルピッチを行った。象徴となるゲストが登場することで当日のゲームまたはシリーズを盛り上げてくれる。特にインフルエンサーとなる影響力のあるゲストが来ることで事前告知によるゲストファンの来場促進や事後でのメディア露出にもつながる。

 もちろん著名人でなくても、一般ファンから募集するなど身近なファンに特別な体験を提供することの重要さも理解しており、球団としては実施に務めている。特に野球人口減少がささやかれる中、少しでも子供たちに特別な体験をしてもらうことは今後も貴重な場となっていくだろう。

 では、埼玉出身でもなく、シリーズの象徴としては考えられにくい現役NBA選手がなぜメットライフドームのマウンドに上がることになったのだろうか?

 実はNBAシーズンを締めくくる最後の戦いであるファイナルのプロモーションで来日したロペスがプロモーション活動の一環として、希望していたことだったのだ。それが、あるエージェントを通して、埼玉西武ライオンズの協力会社を経由して話が来たのだった。

 本当に直前に決まったことで、球団内でも「なぜ、NBAのプロモーションをうちで?」という反応も多かったようだ。だが、球団の中にいたNBAファンのスタッフたちはロペスがやってくることの重大さに興奮を抑え切れなかったようだ。

 直接野球に興味がなくても、その人選によって新たなファンが生まれる可能性を持つ始球式という特別な儀式。あの特別な空間をどう彩るかによっても、球場そして試合全体に違った風を吹かせることができる。始球式という場から今後どんなストーリーが生まれるだろうか。球場に足を運ぶ際には、ぜひこの始球式からお楽しみいただきたい。

【了】

(記事提供:パ・リーグ インサイト

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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