韓国の“神”が“石仏”を勝ち越し弾で撃破「ボールをぶった切ったら…」
同点9回にテームズが呉昇桓から決勝18号2ラン
韓国で本塁打王に輝いた男が、韓国最多セーブ記録を持つ男を粉砕した――。15日(日本時間16日)、カージナルス本拠地で行われたブルワーズ戦で、韓国の野球ファンにはたまらない対決が実現した。
4-4の同点で迎えた9回2死一塁の場面だ。マウンドに立つのは韓国歴代最多277セーブを誇るカージナルスの呉昇桓。そして打席に立つのは昨季韓国で本塁打王に輝いたブルワーズのテームズだった。見逃し、空振りで2ストライクに追い込まれたテームズは、3球目をファウルで凌ぐと、4球目91マイル(約146キロ)の速球をフルスイング。低い弾道を描きながら右翼へ飛んだ打球は、フェンス上部に当たって客席へ飛び込む、決勝2ランとなった。
在籍した3季で124本塁打を記録したテームズは、韓国では“GOD(神)”と崇め立てられた人物。一方、呉は“石仏”“ファイナル・ボス”の異名を取る絶対的な守護神として、韓国でプレーした9季で5度の最多セーブ王に輝いたばかりか、歴代最多277セーブの記録を持つ。呉が阪神に移籍した2014年にテームズが韓国NCダイノスへ入団したため、韓国球界では伝説レベルの活躍をした2人は、今季まで同じリーグでプレーしたことがなかった。
球団公式サイトによると、ギリギリの飛距離で勝ち越し弾となった一発に「ただボールをぶった切ったら、何かフェンスを越えていってくれたんだ。ショックだった…」と、当のテームズも驚きを隠せない様子だったという。ダイヤモンドを回るテームズは、信じられないとばかりに打球が消えた右翼フェンスの方を何度も確認。マウンド上の呉は“石仏”の異名は執れど、その顔にはさすがに悔しさが浮かんでいた。
今季まで3季連続でカージナルス戦では一度もシリーズに勝ち越ししたことがなかったブルワーズだが、今季はこれで2度シリーズに勝ち越すなど好調を維持。“神”の放った一発で、混戦模様のナ・リーグ中地区トップを死守した。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count