「北海道発 チア名鑑」西武から日ハムへ異例の“移籍” 唯一のアクロバット要員

反対していた家族も今は応援、「母はファイターズのファンクラブ会員に」

 今年2月に札幌に引っ越した。「4月に雪が降ったのを見た時には驚きました」と笑うが、新天地での生活は充実している。ファイターズガールとしての活動に、レッスン、仕事と多忙な日々だ。

 西武では試合前のステージに上がることはあったものの、オープニングダンスはなかった。「毎試合、緊張していますが、ドームの中で、みんなが見ている中で踊ることができるのは、当たり前ではないし、ありがたいことです」と責任と喜びを噛み締めている。

 オープニングダンスの後は、選手をグラウンドに送り出してから、 一塁か三塁の応援ステージに上がり、ポンポンを持って踊りながら 、声を張り上げて応援の音頭を取る。「とにかく楽しんで帰ってほしいです。周りをどんどん巻き込むことを意識しています」とおもてなしの心は人一倍だ。

 25人のメンバーで唯一のアクロバット要員でもある。球団マスコットのB・Bと一緒に軽やかにバク転をする姿が印象的だ。「“見たよ”と言っていただくこともあります。嬉しいですね」 と微笑む。

 ファイターズガールの活動は、主催試合にとどまらない。「試合で忙しくて、まだどこにも行ったことがないので。地方に行くことがとても楽しみです」と広い北海道各地でのイベント参加にも意欲的だ。

 反対していた家族も今では応援してくれている。5月に東京ドームの試合で“凱旋”した時には、家族や友人など15人ほどが駆けつけた。「母はファイターズのファンクラブ会員になり、この夏には2週間くらい札幌に遊びに来ると言っているんですよ」と笑う。

 すっかり北海道が気に入った三田部さんの目標は、ファイターズガールで長く活動を続けること。「ここに来るチャンスをもらったので、長く活動したいです。将来的には、子供が好きなので、 経験を生かして、子供たちを教えたりもしたいですね」。北の大地で芽生えた新たな夢を追いかけながら、グラウンドとスタンドをつなぐ架け橋としてフル回転している。

【了】

石川加奈子●文 text by Kanako Ishikawa

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