「首の皮一枚ですよ」―苦しみを経て再び1軍に、ソフトB内野手が求める結果

「守備ももちろん大事ですけど…」

 苦しかったリハビリ生活を終えて実戦に戻っても、しばらくはダイビングキャッチなどへの恐怖心は、なかなか拭えなかった。じっくりとファームでの試合出場を重ね、不安、恐怖心を拭い去り、徐々に状態を上げていった。そして、6月13日。ようやくお声がかかり、今季初めて出場選手登録された。

 ソフトバンクの二塁手争いは、どのポジションよりも熾烈と言っていい。現在、1軍には川崎宗則、明石健志、川島慶三、そして高田の4人の二塁手がいる(この4人は二塁だけでなく、一塁、遊撃、三塁、外野と複数ポジションもこなせる)。そして、ファームには実績のある本多雄一もいる。1軍に昇格しても、そこにはまた、厳しい競争が待ち受けていた。

「守備ももちろん大事ですけど、この中では打たないと生き残れないと感じています」。どの選手も守備のレベルは高い。競争を勝ち抜くため、ポジションを奪い取るためには、バッティングを含めたオフェンス面での結果が求められる。

 昇格後、3試合でスタメン起用され、その3試合全てで適時打を放った高田だが、「首の皮一枚ですよ」という。その争いは激しく、いつファーム行きを言い渡されるか分からない崖っぷちの状況にいると感じている。だからこそ、必死だ。「ようやく勝負出来るところに戻ってこられましたね」。1軍にいることがゴールじゃない。5年目の27歳。欲しいのは定位置の座。まだスタートラインに立ったばかりだ。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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