売り出し中ソフトB捕手・甲斐拓也、強肩送球の精度増す取り組みとは

「左足の踏み出し」にこだわる理由とは…

 甲斐曰く、西武・炭谷銀仁朗のスローイングを参考にして、自らにも取り入れた一歩。ボールを捕球してから投げるまでのスピードは「普通にステップした方が速いと思います」と言うのだが、それならば、なぜ? そこには「盗塁は送球が少しでも逸れたら刺せない」との思考があるからだ。

 どれだけ強肩であろうが、ステップが速かろうが、送球がズレてしまえば、刺せるものも刺せなくなる。まず、優先すべきは高い確率でのストライク送球。そこを考え、現在のスローイングに行き着いたのだ。それに、武器の強肩が加わり、高い盗塁阻止率が生まれている。

 27日の試合では、4回無死から松田の3ランに続き、2者連続アーチとなる2号ソロも放った甲斐。「松田さんの1本で気持ちが楽になりました。結果ああいう形になって良かったです」とバットでも結果を残した。

「石川さんの真っすぐが速いのは日本ハムも知っている。真っすぐを打ちに来ていたので、変化球をうまく使えた」。大きく曲がるパワーカーブに加え、小さい変化のカットボールをこの日は有効に活用。自己最多タイの12三振を奪った右腕の投球をリード面でも支えた。

 開幕当初は千賀、東浜とだけバッテリーを組んできた甲斐だが、松本、石川といった若い投手がローテに入り、さらには高谷が負傷離脱したことによって、ほぼ毎試合のように先発マスクを被るようになった。シーズン中盤に入り、24歳は、チームに欠かせぬ存在となりつつある。

【了】

福谷佑介●文 text by Yusuke Fukutani

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