2013年日本シリーズMVPの“覚醒” 栄光も苦難も越え、頂を目指す楽天美馬

楽天・美馬学【写真:荒川祐史】
楽天・美馬学【写真:荒川祐史】

先発3本柱の一角として活躍続ける右腕

 パ・リーグ2位の楽天が誇る先発3本柱、則本投手、岸投手、美馬投手。彼らは3人だけで、すでに15個もの貯金を積み上げている。1人1人がエース級の働きを見せる彼らだが、昨季までの成績を鑑みれば、特にめざましい躍進を遂げたと言えるのが、今季の開幕投手を務めた美馬だろう。

 美馬の今季の成績は、15試合で112回1/3を投げて7勝2敗、83奪三振、防御率2.46。リーグ3位タイの勝利数を誇り、4失点以上を喫したのは7月1日の福岡ソフトバンク戦のみ。それまでの防御率は1.79という数字だったのだから圧巻だ。

 美馬は、2010年にドラフト2位で楽天に入団。1年目は中継ぎとして起用されて2勝を挙げたが、翌年から先発に転向、8勝10敗という成績を残す。プロ3年目の2013年には球団史上初のリーグ優勝の立役者の1人となり、日本シリーズでは2試合に先発して11回2/3を無失点。2勝をマークしてチームを日本一に導き、日本シリーズMVPにも輝いた。

 しかし、その後のプロ野球人生は決して順風満帆とはいかなかった。右肘の故障に悩まされ、2014年と2015年は大きな負け越しを喫する。2015年には学生時代に何度もメスを入れた右肘に、4度目のクリーニング手術を施すことに。

高校時代に受けた靭帯移植手術を含めると5度目のリハビリを経て2016年には自己最多の9勝をマークしたが、貯金を作ることは叶わず、防御率は規定投球回到達者ワースト2位。本来持っているポテンシャルからすれば物足りない「先発ローテーションの1人」という立場に甘んじる状況が続いていた。

稀勢の里とは同郷で同い年、マウンドで見せる「横綱相撲」

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