負傷者続出も首位争い、鷹はなぜ強い? 「育成」と「競争」を可能にするモノ
「競争」と「育成」を可能にしているモノ
もちろん、チーム力を強化するための補強が主目的ではあるのだが、こういった選手たちを越えなければいけないという状況を作ることにより「競争」を激しくさせ、それが結果的に「育成」に繋がるのである。また、トップ選手をチームに置くことは、乗り越えるべき壁を選手に見せ、さらにお手本とさせるという意味でも「育成」に繋がる。若い選手たちにとっては堪ったものではないだろうが、ここから抜け出すことができる選手だからこそ、1軍でも通用するのだろう。
選手たちは、いつ巡ってくるか、分からないチャンスのために、努力を重ねなければならない。そして、成長していく。このチームでは、突然やってくるチャンスを掴めなければ、次のチャンスがいつやってくるかは分からない。もしかしたら、無いかもしれない。そのチャンスのために、選手は常に準備しなければならない。それができる選手は結果が出る。そして、生き残っていく。こういった循環が、チーム力を支えている。
批判を覚悟で言う。「金満」とも言われるが、ソフトバンクは独立採算。親会社のソフトバンクからは、決まったスポンサー料だけしか入ってこない。ありがちな“補填”の類いは一切ないという。営業努力をし、収益を上げ、利益を出した上で投資をしている。「ある」から「使う」のだ。「強奪」とも言われるが、いい人材がいれば、組織に加えるのは、どこの世界では至極当然のこと。それはメジャーリーグでも、ほかのプロスポーツでも同じではないか。健全な企業活動の末に、チームを作り上げているといえないだろうか。
「競争」と「育成」、それを可能にしている経営とマネジメント。前半戦の窮地を救った他球団を凌駕する戦力層は、こうやって作られている。17日から後半戦がスタートするプロ野球。ソフトバンクは、本拠地ヤフオクドームに西武を迎え撃つ。勝負の後半戦。圧倒的な選手層で、首位の楽天を追撃する。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)