「チョットマッテ」―広島ジョンソン、取材中断で報道陣を待たせた理由とは

広島のクリス・ジョンソン【写真:荒川祐史】
広島のクリス・ジョンソン【写真:荒川祐史】

昨年は外国人投手史上2人目の沢村賞、女房役の石原は「アメリカに連れて帰りたい」

「少し時間はかかったが、やっと自分のピッチングができた」

 いつも通りの冷静な口調の中に、わずかだが高揚感のようなものが感じられた。オールスター前、最後の試合となったDeNA戦で、先発の広島ジョンソンは、今季最長となる8回1失点の好投で4勝目を挙げた。緒方監督が「気迫あふれる投球。今季一番だった」と絶賛した快投で、チームは2位阪神に8ゲーム差と独走状態での首位ターンを決めた。

 14年オフ、MLBを含めた数球団の争奪戦の末に広島入りしたジョンソンは、その評判通り来日1年目から14勝をマークし、防御率1.85でタイトルも獲得した。2年目の昨季は、チームメートの野村祐輔と最後まで最多勝争いを演じ、15勝で次点に終わったが、防御率2.15で外国人投手として史上2人目の沢村賞に輝き、チームの25年ぶりのリーグ優勝に貢献した。

 将来性は買われながら、MLBでは未勝利に終わったジョンソンが、日本でここまで成功した理由は何だったのか。技術面では、来日してから投げ始めたという「スパイクカーブ」が大きな武器となっている。人差し指を立てる独特の握りから繰り出す、この緩い変化球は緩急の「緩」の役割を果たし、しかも縦に大きく変化するボールで、特に左打者には厄介なボールとなっている。アメリカに渡った日本人投手が、MLBの滑るボールに苦労することが多いが、ジョンソンの場合は「滑らないボールは自分に合っているし、マイナーリーグのボールが日本のものに似ていたのが良かったのかもしれない」と扱いやすい日本のボールで、各球種の精度が高まった。

 キャッチャーの石原慶幸の存在も大きい。ジョンソンが「来日してから今まで、サインに首を振ったことが数回しかない」と絶対的な信頼を寄せる“恋女房”の名前をヒーローインタビューでは常に挙げる。言葉に関してのコミュニケーションの問題も「言葉は少なくても、お互いに何をすればいいかわかっている。基本的に同じ方向を向いているので、少しの言葉でも通じる」と意に介さず、「キャッチャーとして全てが素晴らしい。アメリカに連れて帰りたい」と絶賛する。

「チョットマッテ」、ジョンソンが報道陣をまたせた理由とは?

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